日ノ原山は音水湖の南東、引原ダムのそばに佇む山で、宍粟50山に選ばれている。ガイドブックの「宍粟50名山」を見ると、日ノ原集落からのコースが紹介されており、そのコースを歩いてみたくなった。2016年8月のことで、暑い日が続いていたため。無理のない登山を楽しみたいと思ったことも選んだ理由の一つだった。
国道29号線を北上すると、音水湖が近づいたとき日ノ原バス停が現れて、そのそばより細い車道が分かれていた。それが日ノ原集落に通じる道で、ずっと上り坂だった。集落に入り車道を終点まで進むと、大森神社の前に出た。そこが日ノ原コースの登山口で、登山口標識が立っていた。前は広場のようになっており、そこに車を止めることも出来たのだが、ガイドブックの記述通りに周回で歩く考えだったので、車道を戻って国道29号線との中間点辺りにあった路肩スペースに駐車とした。まずは車道を終点まで歩き、大森神社への石段を登った。神社の前に出ると、その左手より登山道が始まっていた。登山道に入ると、植林地の中を登るようになった。ごく細い登山道だったが、終始緩やかで無理なく登って行けた。また植林地とあって陽射しを受けることは無く、木陰の中をずっと歩けた。ときおり雑木林に変わることがあったが、ほぼ植林地の登りだった。登山口から30分近く登って尾根に出ると、周囲の木々は自然林に変わった。すぐに尾根を歩くのではなく、始めは右手にマンガ谷を見るようにして尾根の南寄りを歩いた。そして程なく尾根に出て、尾ね歩きとなった。自然林に囲まれているため、相変わらず木陰の中を歩くことになり、暑さを気にすることは無かった。また涼しい風があって、それも助かった。登るうちに周囲はまた植林地となった。尾根は真っ直ぐではなく屈曲していたが、その屈曲点には標識が付いていたので。コースを誤ることはなく、けっこう気楽なハイキングだった。但し展望は全く無かった。ほぼ植林地の登りとあって風情は少なくなっていたが、山頂が近くなると自然林に変わってきたため、また雰囲気は良くなった。その中を山頂到着となった。山頂には二つの無線塔が建っているものの、その周囲を高木が囲むため展望は無かった。一見地味な山頂だったが、休むスペースは十分にあった。良かったのは快いばかりの涼しい風が通っていたことで、風はさらっとしており快適だった。展望が無いので、ひたすら風の快さを楽しんだ。その風を受けながら昼食を済ませると、下山に移った。下山は国道29号線のそばに下りるコースに入った。こちらは山頂に建つ電波塔への巡視路と呼べそうで、ほぼ階段の道だった。そして周囲はすっかり植林地になっていた。こうなるとただひたすら下るのみ。そのままでは変化なく終わるところだったが、中腹辺りで周囲が自然林に変わると、ちらちらと音水湖が望めるようになった。もう少し見えたら良いのにと思っていると、広く眺められる所が現れた。更に日ノ原山展望所と名付けられた所が現れると、もう十分過ぎるくらい音水湖が眺められた。また近くには送電塔(原横行線7番)が建っており、そのそばからは西の方向も望めた。展望を十分に楽しむと下山を続けた。相変わらず階段の道だった。日ノ原山展望所から10分も下れば登山口だった。その登山口は国道29号線が間近に見えるものの、間に広場があるため、国道からは少し分かり難い位置にあった。国道に出ると、日ノ原集落を目指して南へと歩いた。国道にあった温度表示機は30℃を示していた。陽射しを受けながら歩くことになったが、緩い下り坂とあって歩くのは楽だった。15分ほど歩くと日ノ原バス停が現れて、そこから日ノ原集落への道に入ると、程なく駐車地点が見えてきた。
(2016/9記)(2020/5改訂) |