「宍粟50名山別選5名山」のパンフレットを見たとき、三郡山の地図に明神山の名を見た。宍粟市と養父市との境界尾根にある明神山だが、そのときは特に思うことは無かったが、2019年11月の第二日曜日にそのパンフレットを参考にして三郡山を登ってみると、尾根の自然林は紅葉を迎えていた。その風景に接して同じ境界尾根上の明神山も雰囲気は良いのではと思えた。そこで明神山を22年ぶりの登ろうと向かったのは一週間後の日曜日のことだった。
前週と同じくこの日も快晴だった。宍粟市一宮町に入ると、県道6号線から国道429号線に入り、笠杉トンネルの方向に向かった。そして黒原集落に入ったとき、三郡山の登山口標識を見た。後は標識に従って奥組集落への道に入り、集落を抜けた先で現れた黒原・井内浄水場の前に出た。そこに車を止めて林道歩きでスタートした。一週前に歩いたばかりとあって境界尾根までのイメージは出来ていたので、ごく気楽な気持ちで歩いて行った。三郡山登山口に入り、この日は支尾根を真っ直ぐ登った。尾根の自然林は前週と比べると紅葉が進んでおり、ちょうど見頃の感じになっていた。境界尾根に着くと、そこは標高800地点だった。そこからは尾根を西へと歩いて行くのだが、明神山は800mに満たない山とあって概ね下り坂を歩くことになった。三郡山への道と同様に尾根は歩き易く、紅葉を愛でながらゆっくり歩いた。展望はほとんど無かったが、ときおり木々の隙間からスリガ峯の姿を見た。明神山が近づくと上り坂となり、800m地点から16分で到着となった。何とも気楽に立てた感じだった。そこは紅葉こそきれいだったが、樹林に囲まれて展望は無かった。ただ西斜面に展望地があることを知っていたので、西斜面側に下るとすぐに前方が開けて展望が広がった。西に向かっての展望で、南西の東山から北西の藤無山、氷ノ山まで一望の素晴らしさだった。どの山も紅葉しており、風景が華やいでいた。境界尾根は明神山からは北北西へと向かい798mへと続くのだが、その798mピークが紅葉した姿で近くに見えていた。明神山だけでは全く歩き足りていなかったので、798mピークまで歩くことにした。その尾根を歩くのは22年ぶりだったので、その変化にも興味があった。その尾根に予想通りアセビのヤブになった所が現れた。ただアセビヤブは長くは続いていなかった。ヤブを抜けると後はスムーズに歩けた。小さなピークを越すと798mピークへの上り坂が始まった。けっこう急斜面になっていたのでしっかり登ることになった。そしてピークが近づいたとき急に周囲の木々が減って後方に展望が広がってきた。それは東に向かっての展望で、スリガ峯から三郡山へと続く尾根が一望となった。その展望に出会えて、ここまで来た甲斐があったと思えた。そこより一登りして798mピークに着くと、そこも明神山と同様に紅葉こそきれいだったが展望は無かった。すぐに引き返して展望地で改めて休憩とした。その休憩の間に空模様が変わってきた。快晴の空に雲が見えてきたかと思うと、雲はどんどん増えてきた。その空を見て休憩を切り上げると、後は歩いて来た尾根を引き返した。また紅葉を愛でながらの尾根歩きだったが、日射しが消えた分だけ鮮やかさは少なくなっていた。明神山を過ぎ三郡山コースに合流すると、市境尾根を離れて登山口へと戻って行った。二週連続して奥播州の尾根歩きを楽しんだが、三郡山コースよりも明神山から798mピークへと歩いた尾根道の方が展望に恵まれているだけ面白かったように思えた。
(2020/1記) |