前年にこの明神山の近くにある点名・横山(855mピーク)を登っていたが、そのときと同じく一宮町倉床字青菜にある林道分岐点の近くに駐車とした。林道の分岐地点からは目の前の北東方向へと真っ直ぐ延びる尾根に取り付いた。落葉樹の多い尾根は尾根道こそ見ないものの傾斜は緩く、また樹間も空いていたため歩き易かった。そして尾根は今が紅葉の盛りとなっており、それを愛でながら登った。尾根途中で小ピークを越すが、そこに四等三角点(点名・宮島)を見るも展望は無かった。その先からは少々潅木が密になってきて、歩き難さが出てきた。798mピークに近づくにつれ、伐採された北西面の展望が良くなった。70分ほど登って798mピークに着くと、そこからの展望は見事と言うほかなかった。この秋一番と言える澄み切った空の下、西から東山に一山、三久安山そして藤無山と続く尾根が眺められた。その後ろには氷ノ山に鉢伏山、妙見山と但馬の高峰が控えていた。手前にも幾つもの山々が並び、この山域の奥深さを感じさせられた。また周囲の山肌に見事に紅葉した箇所が見られ、見ていて本当に飽きなかった。当初は次の明神山で休憩する予定にしていたが、この風景に魅せられてこの798mピークで昼休憩とした。休憩を済ませるとおもむろに明神山に向かった。その途中の鞍部の辺りは山中のプロムナードと言った雰囲気があり、降り落ちる落ち葉の風情に暫し見とれていた。明神山に近づくに
れ潅木が密集してきて歩き難くなった。着いた明神山も潅木に囲まれており展望は悪かった。その明神山の西面を少し下ると伐採地が現れた。そこはススキの原が前面に広がり、そして雄大な山並みが背後に広がっていた。その素晴らしい展望に798mピークに負けていないと思えた。須留ヶ峰も良く見えていた。下山は林道に向かって南西に延びる尾根を下った。少し潅木が煩わしい尾根だったが、200mも下ると林道に出会った。その地点からも北の方向に紅葉の藤無山が見えていた。後は林道を歩いて駐車地点に戻った。紅葉の播但尾根を十分に楽しめた一日だったが、フィルムの残り枚数が少なくて写真をあまり撮れなかったのが残念だった。なお、明神山は791mピークに対しての名前だったが、明神と名の付く山は頭をもたげた姿が多いように思われるので、791mピークでは無く隣の798mピークこそ相応しい名ではと思えたこの日だった。
(2002/3記)(2020/1写真改訂) |