2019年5月に深谷山を登ったおり、その帰り道で深谷山が見えるポイントとしてラベンダーパーク多可に立ち寄ったが、そこから大井戸山への登山道があることを知った。それに興味を持って一度登ってみようと思ったものだった。その深谷山登山から一ヶ月後の6月8日土曜日は曇りの予想だった。そこで晴れの展望は期待せず手頃に登れる山に行くことにした。そして思い付いたのが大井戸山をラベンダーパーク多可からのコースで登ることだった。天気予報では昼からは晴れるとなっていたので、山頂に立つ頃には少し晴れの展望を楽しめるかも知れないとも思った。
この日の播州南部の空は雲は多いものの晴れ間も見られたが、北に向かうにつれ薄黒い雲が増えてきた。多可町に入ると篠ヶ峰も千ヶ峰も雲に隠されていた。それでも上空には青空が見えており大井戸山は頂を見せていたので、これから天気は良くなってくるのではと思いながらラベンダーパーク多可に入った。一ヶ月前に来たときは園内は無料だったが、ラベンダーが咲く季節となったことで有料に変わっていた。但しこの日は割引になっており、入園料は300円とリーズナブルだった。園内に入って第1駐車場に車を止めた。そこからは大井戸山が見上げるようにして眺められて、ガス雲の空だったが山頂は見えていた。まずは総合案内所の中を通って山の斜面に作られたラベンダー園へと入った。ラベンダーの種類は概ね3種類で、ラバンディンラベンダーはまだ蕾状態、イングリッシュラベンダーは咲き始め、ストエカスラベンダーが見頃と言った感じだった。登山口はラベンダー園の最上部にあると案内板に示されていたので、真っ直ぐラベンダー園の一番高い所を目指した。まだ10時半になっていない時間のためか園内を散策する人はちらほらで、むしろラベンダーの世話をする地元の人の方が多かった。斜面を登るほどに背後に展望が広がるとそこに見えてきたのは深谷山だったが、山頂はすっかりガス雲に隠されていた。最上部に着くと展望台があり、そのそばより優しげな遊歩道状の道が始まっていた。その辺りは「聖獣の森」との標識があって、大型の木彫りの彫刻を点々と見たが、案内板の園内図では「ふれあい広場」の名になっていた。緩やかな斜面に付く遊歩道を登ると東屋が現れ、その先で害獣避けフェンスが現れた。ゲートがあってそれを抜けたが、園内図ではそこまでがふれあい広場だった。その先も遊歩道場の道が続いていたが、次第に一般的に登山道と呼べそうな小径に変わってきた。登山道は自然林の中を続くので、雰囲気は悪くなかった。コースは送電線の経路に沿うようになり、登る途中で送電塔(奥多々良木線31番)に出会った。登るほどに易しい感じはなくなり、しっかり登る感となった。またコースは少しはっきりしない所も現れたので、目印テープをしっかり追って登った。天気のことだが次第に良くなるとの予想とは逆で、上空に青空は見られなくなり、暗さを増すと共に霧雨が降ってきた。そのため山頂に着くのが目的の登山となってしまった。そして標高700m辺りまで登って南西尾根に合流すると、その南西尾根に付く丹治集落からのコースに合流した。歩く方向は北東となり、一気に緩やかな尾根歩きとなった。緩やかになったが尾根上に大岩が現れたりアセビの茂る所が現れたりして易しく歩く感じでもなかった。そのうちにガス帯に入ったのか周囲にうっすらガスを見るようになった。山頂が近づくとまた急斜面を登るようになり、そして山頂手前の展望地に出た。せっかくの展望地だが、前方はガスに隠されており麓の方向が少し見えるだけだった。そこより僅かな距離で山頂到着となった。ラベンダー園最上部の展望台を離れてから80分経っていた。漸く着いた山頂だったが、ちょっと厳しかった。霧雨はもう降っていないものの気温は13℃と低く北風が冷たく強かった。すぐに南斜面側に移って休憩とした。ガスが漂っていることでもありその休憩を少時で済ますと下山に移った。下山はただ往路を戻るのみ。ただ丹治コースとの分岐点まで戻ったとき、そのまま南西尾根を少し歩いて32番鉄塔のそばに出た。少しは展望があるかと期待してだったが、やはりガスの視界だった。分岐点に戻ってふれあい広場に通じる登山道に入ると、目印テープを追って急斜面を下った。岩が濡れていたので、滑らないようにと慎重に下った。その下りも薄黒い雲の下でだったが、ゲートが近づく頃になると空が幾分明るくなってきた。ふれあい広場に入ると陽射しを見るまでになり、そしてラベンダー園へと入って行った。上空こそまだガス雲が広がっていたが園内は陽射しを受けて明るくなっており、その中でラベンダーの花を楽しんだ。
(2019/7記) |