TAJIHM の 兵庫の山めぐり <摂津編
 
湯槽谷山    ゆぶねだにやま 801m 神戸市
灰形山     はいがたやま 619m
落葉山       おちばやま 533.0m
 
1/2.5万地図 : 有馬
 
【2010年4月】 2010-36(TAJI&HM)
   (落葉山) 六甲山魚屋道より  2009 / 7

 有馬温泉を起点に落葉山、灰形山、湯槽谷山を巡る有馬三山のハイキングは温泉街の展望もあって、手頃なハイキングとして人気がある。この三山を登った後、六甲の主脈を越えて東灘の町まで歩けば、歩く量としては十分と言えそうだった。向かったのは10年4月、桜が満開の季節だった。夕食を神戸の町中でする考えもあって、スタートは遅めにすることにした。新開地で神戸電鉄に乗り換えると、沿線の桜が見頃になっており、各駅停車の退屈さを紛らわせてくれた。有馬温泉駅に降りたのは10時46分。いつもながら休日の駅前は賑わいがあった。大通りを南へと緩く登って、交差点で右手の太閤通りに折れた。まだ旅館や土産物屋が続いており、それを見ながら歩いていると、右手に妙見宮参詣道の標識を見た。有馬三山ハイキングの起点である。遊歩道として石段が始まっていた。登るほどに山中に入って行くものと思っていたが、少し登ると有馬グランドホテルの脇に出て、そちらからの車道に合流した。車道を歩くことになって、まだ民家が現れたりした。また温泉街の展望も現れたりして、まだ裾野近くにいる雰囲気だった。そのハイキングコースには点々と二体ずつ石仏が置かれており、寺の名が付いていた。寺の名は四国八十八カ所では無く、西国三十三カ所の名だった。車道が終わると落葉山山頂へと石段が始まった。そして石仏の現れる頻度が高くなった。落葉山山頂は小さな山にしては少し広めで、山頂総てが妙見宮の境内になっていた。その一角から温泉街こそ見えるものの、山頂の展望は良いとは言えなかった。ハイキングコースを歩くのが目的なので、境内はさっと眺めるにとどめた。この落葉山には三角点があるのだが、境内には無く、ハイキングコースを南へと進み、下りになる直前にひっそりとあった。ところでこの落葉山にはピークが二つあり、三角点のあるのが高い方のピークで、西に少し低いピークがある。三角点ピークを仮に東峰と呼ぶと、その東峰の木立を通して西峰が間近に見えていたが、何となくヤブ山のように見えた。東峰からはそのままハイキングコースを歩いて灰形山に向かうつもりだったが、西峰にも立ち寄れるものなら寄ってみる気で下りにかかると、鞍部に出る前に、はっきりとした小径が西峰に分かれているのが見えた。それを見て西峰へと向かった。雑木林の中を進んで行くと、途中の標識で西峰には展望地があるようだった。小径のままに歩くと、西峰ピークのすぐ近くに北に向かって開けた所が前方に見えてきた。そこが展望地のようだったが、その前に西峰ピークに立ってみたが、ごく狭いピークで、単にピークを踏んだと言うだけだった。すぐに展望地に向かった。そこには先着のハイカーが一人昼食を始めていた。展望は西から北、東へと十分に180度以上の展望があり、北摂の山並みが一望だった。西峰には期待していなかったのだが、この展望に落葉山を十分に見直す思いだった。少し雲の多い空だったが、視界はさほど悪くはなく、遠くは丹波の山まで見える展望に、暫し足を止めていた。その西峰から東峰に戻るとき、西峰からも灰形山へのメインコースに入って行くことが出来た。灰形山への尾根には痩せ尾根の所があり、それが暫く続いた。そして急坂を階段で登るようになった。急坂を登り終えて灰形山の山頂が近づくと、賑やかな声が聞こえてきた。山頂には三人グループがおり、大声だけでなくタバコの煙が舞っていた。山頂をちらりと見ただけで通過する。その先は緩やかな下りだったが、鞍部から湯槽谷山への登りが始まると、そこはまた急坂となった。多くは階段状になっており、一歩一歩踏みしめて登る。山かげを登るため、ちょうど良い汗をかける感じで登って行けた。ただ周囲は植林が多いとあって、登山コースに風情はあまり感じられなかった。この湯槽谷山への急坂は思った以上に長く続くので、地図を見ると200mほど登るようだった。急坂を登りきって平坦になったので山頂が近いと思っていると、その先でまた傾斜がきつくなった。それを登り終えて漸く湯船谷山山頂が近づいた。その頃には周囲は自然林になっており、木漏れ日が地表に様々な木の影を作っていた。その湯槽谷山の山頂だが、灰形山以上に賑やかな声が聞こえてきた。山頂は10人以上のグループに占拠されており、その喧しさに思わず後ずさりして、少し離れた所でザックを下ろした。時間は13時が近くなろうとしており、遅めの昼食とする。落葉山西峰で好展望に出会えたので、その後の尾根でも展望を期待したのだが、展望に関しては悪いと言える尾根で、ここに着くまでも展望の開けることは無かった。13時を回って急に山頂が静かになった。グループが下山したようだった。山頂へと移動して、改めて休憩する。この湯槽谷山の山頂も木立が取り囲んでおり、展望は無かった。他に人を見ることの無くなった山頂を少し探ると、東に少し戻った位置から木立に遮られながらも温泉街が眺められた。これで有馬三山の三つのピークを踏んだわけだが、最初の落葉山が一番印象に残っており、後は単に小さなピークを踏んだと言う印象が強かった。それも眼前の六甲の尾根が大き過ぎることがなせる感じ方かも知れなかったが。ただ湯槽谷山から少し覗けた温泉街の風景が、ずっと良く見えるようになれば湯槽谷山の印象はアップするのではと思えた。そこからは六甲の主脈を目指すことになるが、まだ標高を100mほど上げなければならない。登山道なりに歩くと下り坂となり、湯槽谷峠に下り着いた。そこより登り返すのだが、この番匠屋畑尾根道は一本調子の登り坂では無く、小さなアップダウンを繰り返した。その途中で六甲有馬ロープウェイの下をくぐったのだが、ちょうどロープウェイが真上を通過した。尾根の展望は相変わらず良いとは言えず、先ほど立っていた湯槽谷山は樹間を通して覗き見るだけだった。少し良く見えたのは六甲山の山頂で、東の方向に山頂の電波塔が目立っていた。アップダウンはやはり足の疲れるもので、主脈に着くまでが少し長く感じられた。漸く前方より車の音が聞こえてきて、極楽茶屋跡のそばを通ってベルビューアリマロードに出た。もう山中の雰囲気は消えて、いわゆる俗世間の雰囲気だった。これが六甲のきらいなところだが、仕方がない。車道を渡った所から稜雲台への道が始まっていた。少しは静かになったが、今度は多くのハイカーとすれ違うようになった。やはり中高年のハイカーが多いのだが、その服装に急激な変化が感じられた。いわゆる雑誌によく紹介され出したタイツ姿が多かった。足の疲労を軽減する効果があるとのことだったが、どうも体の線が見え過ぎて品が無く見えるのはこちらだけだろうか。中には半パンをはかずにタイツだけの姿の人もおり、見るのが気恥ずかしくなった。小さなピークを越えると、そこはすっかり観光の世界だった。いつの間にか稜雲台の名を消えて、六甲ガーデンテラスの名しか目にしなかったが、ここは900mピークがあり、一帯を稜雲台の名で呼ぶものと思っていたのだが、なぜ名前が消えたのだろうか。その一角で大規模な工事が行われており、新しい展望台が作られようとしていた。ガーデンテラスの建物にも展望台があるので、暫く観光の世界に身を置くことにした。展望テラスに立つと、午後の光に少しうっすらとしていたが、気持ちの良い展望が広がっていた。阪神間に広がる街の風景だけでなく、六甲山頂も望まれた。ついでに土産物屋も覗いたので、すっかり観光気分だった。20分ばかりを過ごして、天狗岩南尾根を目指す。注意して見ると、そこそこ目印があって、間違わずに下って行けたが、車道にしろ歩道にしろ錯綜しているので、目印が無いとちょっと難しいのではと思えた。その目印が天狗岩南尾根の分岐点に付いていなかった。その枝分かれした道は南へと向かっており、ロープウェイの鉄塔が間近に建っていた。位置的にその小径が天狗岩南尾根への道と思えたので、歩き出すとすぐに天狗岩が現れた。これで正しいことが分かったが、ちょっと不親切と思えた。その天狗岩は展望岩になっており、市街地の風景だけでなく、摩耶山が間近に見えていた。また遠く淡路島までが一望だった。この下山で歩いた天狗岩南尾根は傾斜のきつい所は無く、無理なく下って行けた。また誰と会うことも無く静かだった。六甲は大きいだけに、色々なコースを選べるのは良いところである。但し天狗岩から先ではさほど展望は開けず、市街地や港がときおり覗ける程度だった。その南尾根で麓に近づいたとき、道は二手に分かれた。右手の道は渦森台方向とあり、そちらに出ればバス停が近いように思えたので、右手の道をとった。ところがそれまでの道と違って少し荒れ気味で、マイナーな感じだった。下り着いた所は西谷川の河原で、桜の木の下で学生グループが花見をしていた。そのそばを通って、渦森台の住宅地に入る位置で登山コースは終了となった。後はバス停を見つけるだけだったが、渦森台は坂の町で、けっこう急坂がずっと続いていた。バス停が見えてきたが、ずっと下り坂を歩いていたことでもあり、その勢いで電車の駅まで歩いてしまうことにした。渦森台、鴨子ヶ原と閑静な住宅地を抜けて行くと、阪急御影駅までは登山口から50分の距離だった。その御影駅までほぼ下り坂だったので、改めて神戸は坂の町だと思いながら、三宮駅行きの電車に乗り込んだ。
(2010/5記)(2021/3改訂)
<登山日> 2010年4月10日 10:46有馬温泉駅スタート/10:52登山口/11:00車道に合流する/11:15〜26妙見宮(落葉山東峰)/11:35落葉山西峰/11:38〜48西峰展望台/12:12灰形山/12:50〜13:15湯槽谷山/13:25湯槽谷峠/13:33三角点(点名・湯槽谷山)/14:13県道16号線に出る/14:37〜55六甲ガーデンテラス/15:33〜45天狗岩/16:渦森台登山口/17:18阪急「御影駅」エンド。
(天気) 雲が多かったが、まずまずの晴れ。気温は18〜19℃で終始する。木陰は少しひんやりしていたが、陽射しの下ではちょうど良い感じだった。風は少し吹く程度。視界は春としては悪くなかった。
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有馬温泉駅を出て、大通りを南へと歩く 太閤通りに入っても賑わいは続いた 登山道と言うよりも遊歩道として始まっていた
赤い提灯の下に小さく有馬三山の文字を見る 遊歩道を登り出す 「さんけい道」の柱石を見
点々と西国三十三カ所を模した石仏が置かれて
いた
遊歩道が緩やかになると、車道へと近づいた 暫くは車道歩きだった 車道の終点位置から、妙見宮への石段が始まった
ツツジが鮮やかな花を咲かせていた 山上は妙見宮の境内だった 境内の一角からは温泉街が眺められた
落葉山の山頂には本堂が建っていた 三角点は境内を離れて南に向かったときに出会
った
三角点の近くからは南に湯槽谷山が見えていた
落葉山西峰へも登山道は続いていた 落葉山西峰のピークはごく狭かった 西峰ピークから東峰の妙見宮を見る
i
 西峰ピークの位置
 より少し北へ向か
 うと、そこは展望
 台になっていた

 展望台の位置から
 も妙見宮が眺めら
 れた また右手に
 六甲山頂も望めた
展望台からは北に向かって遮るものの無い展望が広がっていた
上の写真の西光寺山を大きく見る 上の写真の白髪岳を大きく見る 上の写真の大船山を大きく見る
東峰からの登山道と合流して灰形山に向かう 登山道からも温泉街が眺められた 登山道は狭い幅で続いた
灰形山への登りは急坂だった パートナーが一所懸命に登っている 灰形山山頂はちらりと見ただけで通過する
灰形山からの下りは緩い道だった ときおり木立を通して六甲山頂が望めた 前方に湯槽谷山を見る
鞍部で紅葉谷コースが分岐する 湯槽谷山への登りも急坂で、それが長く続いた 200mほど登って漸く尾根は平坦になった
また急坂が現れて50mほど登ることになった 二度目に緩くなって、漸く山頂が近づいた 湯槽谷山の山頂は展望は全く無かった
山頂近くより木立を通して温泉街を眺める 湯槽谷峠への道に入る 下る途中で、ロープウェイが横を通過した
湯槽谷峠では両側に道が分かれた 番匠屋畑尾根を登って行く 尾根の途中で三角点(点名・湯槽谷山)に出会った
ロープウェイの鉄柱の下をくぐることがあった アップダウンの続く尾根だったが概ね歩き易か
った
車の音が聞こえだすと,、極楽茶屋跡は近かっ
ベルビューアリマロードを横断する 凌雲台に向かう 前方に900mピークを見る 登っていると、北東に六甲山の山頂が望めた
900mピークの東側を巻いていく 凌雲台の名は無く六甲ガーデンテラスになって
いた
ガーデンテラスの展望台に立ってみた
展望台から改めて六甲山頂が眺められた 展望台からは阪神の市街地、港が一望だった

 六甲ガーデンテラス
 を離れるとき、振り
 返って眺める 何や
 ら大規模な工事は、
 新しい展望台を作っ
 ているようだった
天狗岩を目指して下山にかかる 近畿自然歩道を歩くこともあった 道が錯綜しているので、標識が頼りだった
肝心の天狗岩への道には標識が無かった 登り坂があって天狗岩に近づく 天狗岩は明るく開けた所だった

 天狗岩の上からは
 六甲の尾根から阪
 神の市街地までが
 一望だった
別の岩の上に立って南西方向を望む 左の写真の淡路島を大きく見る
上の写真の摩耶山を大きく見る 天狗岩南尾根は自然な雰囲気が良かった 木立の切れ目から港の見えることがあった
尾根で出会ったスミレは色が鮮やかだった 途中で分かれた渦森台への道はマイナーな道だ
った
西谷川に下り着いて一休みする
河原の桜が満開だった 登山道は渦森台の住宅地の外れで終了となった 阪急御影駅でこの日の長いハイキングを終了した