竜ヶ岳にしろ大井戸山にしろ一番短時間で登れるコースは清水峠からのコースとなるので、両山を一緒に登ろうと向かったのは2018年10月下旬の土曜日のことだった。天気予報は晴れとなっていた。その天気予報通り播州南部は好天の空だったが、北に向かうにつれ雲が増えてきた。それでも多可町の空は、まだ晴れて呼べそうな空だった。加美区市原で国道427号線を離れて林道を目指した。その林道にすんなり入ると、林道は舗装されておりスムーズに進めた。また林道が分岐しても標識のおかげで迷うことは無かった。その林道の終点に数台分の駐車スペースがあり、そこが登山口だった。竜ヶ岳、大井戸山共に前回登山はその清水登山口から登っていたので勝手は分かっていた。今回は秋の登山とあって暑さを気にせず登れるのは良かった。ほぼ植林地の斜面を登って20分ほどで清水峠に着いた。そこからは先に竜ヶ岳を目指した。この尾根も植林地は多かったが雑木林になることもあり、その雑木は紅葉が進んでいた。竜ヶ岳山頂までは幾つか小さなピークを越して行くため、上り坂ばかりではなく下り坂もあった。ただ尾根は易しいとあってけっこう気楽な登りだった。山頂手前の810mピークで漸く展望が現れて、そこからは千ヶ峰が望めた。登るうちに天気は良くなっていくと思っていたのだが、その逆のようで黒い雲が増えて青空は減っていた。その先では今度は東の方向が開けて、遠くは多紀アルプスが望めた。竜ヶ岳山頂に着いたのは、清水峠を離れてから40分後だった。雲の多い空だったが、着いた直後に陽射しが現れて明るい山頂での休憩となった。山頂は好展望地であり、眼前に広がる多可町の山並みを眺めながら昼食とした。ただ休むうちに青空は更に減って、30分も経つとすっかり曇り空に変わってしまった。しかも薄黒い雲だった。気温も14℃まで下がって肌寒さが増してきた。そこで歩いて体を休めようと、大井戸山に向かうことにした。清水峠まで戻るとそのまま南へと向かうのだが、始めに70mほどの登りがあってけっこう足を使うことになった。その後は尾根が緩んで歩き易くなったのだが、今度は岩場が行く手を阻みだした。その辺りは目印テープを追って歩くも、目印テープを見失うと適当に歩くことになった。竜ヶ岳コースと比べると、少々険しさがあるようだった。750mピークを越すと歩く方向は西となり、前方に鋭いピークが見えてきた。そこが大井戸山かと思えたが、そこまでにも幾つか岩場があった。漸く山頂に着いたかと思ったところ、まだ先にピークがありそちらが山頂だった。そこまで来て前回も同じ思いを持ったことを思い出した。山頂に着いたときに陽射しが広がったので、漸く晴れて来るのかと思ったが、すぐに雲が広がってきた。それと共に竜ヶ岳よりも冷たい風が吹いてきた。その大井戸山も展望があって篠ヶ峰を間近に見るだけでなく、南に広がる山並みを眺められたが、山頂より数十メートル更に西に離れた位置に好展望地があり、南の風景だけでなく西には千ヶ峰から笠形山へと続く尾根が眺められた。その風景に満足して下山に移った。歩いてきた道をただ引き返すのみ。再び曇り空に戻った空の下で下山を続けたのだが、尾根を離れて登山口へと西斜面を下り出すと、天気は急速に回復してきた。登山口に戻ってきたときには、上空に青空が戻っていた。その天気はその後も増々良くなり、国道427号線に出てきたときは、すっかり快晴の空となっていた。
(2018/11記) |