TAJIHM の 兵庫の山めぐり <北但馬
 
瀞川    とろかわさん 1039.1m No.2
 
十石    じゅっこくさん 870m No.1
 
 
1/2.5万地図 : 氷ノ山 香美町
 
【2010年11月】 2010-94(TAJI&HM)
 
    但馬トンネルを抜けて香美町に入った位置より  2010 / 11

 但馬トンネルを越えて香美町に入ったとき、目に飛び込んでくる瀞川平の風景は何ともおおらかさがあって、但馬で好きな風景の一つである。2010年の紅葉期を迎えて、どの山で楽しもうかと思案を巡らしたとき、この瀞川山をと言うか、十石山からのハイキングコースをのんびり歩いて、瀞川平の自然を満喫したいと考えた。
 向かったのは11月に入っての最初の土曜日のこと。空は快晴だった。但馬トンネルを抜けると、瀞川山が雲一つ無い空の下にくっきりと現れた。その山肌は期待通りに紅葉していた。ハチ北口の交差点には「木の殿堂」の標識が立っており、その標識に従って交差点を左折した。車道はくねくねとしながらも、緩い上り坂で続いていた。木の殿堂の標識は点々とあり、標識のままに車道を進むと、中腹辺りから周囲の雑木が、色付きを増してきた。青い空に紅葉が華やいでいた。木の殿堂に着くと、駐車場には数台の車が止まっているだけでひっそりとしており、公園を見ても一組のファミリーを見かけただけだった。駐車場と木の殿堂とは300mほど離れており、その木の殿堂へと歩き出すと、すぐに瀞川山の登山口が現れた。登山道は緩やかな坂になっており、道幅も十分で遊歩道と呼べそうだった。周囲は自然林が多いようで、それが見頃の色付きを見せていた。登山道の雰囲気の良さもあってか、登山と言うよりも散策している気分だった。その登山道が途中で展望コースと森林浴コースの二手に分かれたが、はっきりとした方の展望コースに入った。少し斜度が増したが、登るほどに木々の色付きも増して、どうやらちょうど見頃のように思われた。足下には落ち葉が積もっており、サクサクと軽やかな音をたてながら歩いて行った。登山道の傾斜は更に増してきたが、急坂と言えるまででは無く、ごく自然な足の運びで登って行けた。紅葉はウリハダカエデの木が多いようで、黄葉と呼ぶべきかも知れなかった。その華やぎのある紅葉の様を楽しみながら登って行くと、登山口から40分で十石山のピークに着いた。そこまでは紅葉に見とれて展望には関心を向けていなかったが、展望コースと言えるほどの展望は無かったように思われた。そして十石山の山頂はなぜか展望地と思っていたのだが、そこはすっかり雑木に占められており、ただ紅葉の木々を見るだけだった。その先は緩やかな下りとなり、そして小さな尾根を南西へと登って行く。ブナの黄葉も見られ、紅葉はいっそうの艶やかさだった。落葉に覆われた道の雰囲気も良かった。ただ稜線と言うか瀞川平の平頂部が近づくと、落葉の半ばを過ぎた木々が多くなってきた。そして瀞川林道に合流した。林道はダート道として幅広で真っ直ぐ延びていた。南へ向かって歩いていると、その見通しの良さに、この瀞川山の山上がいかに平らになっているかが良く分かった。暫くは林道歩きが続くので退屈ではと思っていたのだが、そうでも無かった。山上ではカラマツが植林されており、そのカラマツが黄色く色付いていた。カラマツの黄葉は少し遅いのか、うっすら黄色みを帯びただけの木もあったが、見頃の木もあり、ここでも良い雰囲気で歩けた。カラマツだけでなくウリハダカエデの見事な黄葉も見かけた。ただ林道だけに通行する車がときおりあり、そのときは少しばかり和んでいた気分を乱された。林道歩きを20分ほど続けると、瀞川山の標識が現れて、林道から再び登山道に入った。その辺りは植林地とあって、紅葉は見られなかった。その植林帯の道も緩やかで、少し登ると一気に前方が開けてきた。ササの中を歩くようになり、もう山頂は目前だった。山頂に着くと、そこは地表が広く現れており、その地表は踏み固められたように固くなっていた。ただ草地もあって、その上に腰を下ろした。そこは素晴らしい展望地だった。西側こそ樹林が壁になっていたが、北東から南、南西へと、遮るものの無い展望が広がっており、その中心になだらかな尾根を見せる妙見山が対峙していた。また南は鉢伏山がどっしりと座っており、その左肩には氷ノ山が覗いていた。そして上空は雲一つ無い青空だった。ここに来て冷たさのある風を少しばかり受けるようになったが、その風も登ってきた体にはちょうど良い快さだった。その快さを味わうのはパートナーと私の二人だけだった。展望の良い山頂で、静かに憩いのときを持てるのは、何とも良いものだった。それにしてもこの紅葉の素晴らしい時期に、しかも快晴の休日であるのに、ここまで誰一人と会うことは無かった。いったい但馬のハイカーはどこに行っているのかと思ってしまった。その山頂で昼食をとったりと休んでいるうちに、三人連れが山頂に来たので、ようやくハイカーが現れたと思ったのだが、単に車で林道ドライブに来た人だった。その三人も数分で山頂を後にしたので、その後はまた二人だけの世界だった。少しばかり昼寝も楽しんで、山頂では一時間ほど過ごした。下山は登ってきたコースを引き返すことになるが、林道までは山頂から南西へと向かう登山道を下りた。始めは氷ノ山の方向を眺めながらで、足下を見ると、青い花が点々と咲いているのが目に付いた。リンドウのようだった。周囲を樹林が囲むようになり、山頂から10分少々で林道に下り着いた。その登山口に標識が立っており、「瀞川山山頂すぐ駅」の名が付いていた。どうやら瀞川林道は、ポイントポイントで駅の名を付けているようだった。林道を北へと戻って行く。また平坦な林道歩きとなったが、順光で見る瀞川林道は北海道の開拓道路見るようで、悪くなかった。ただときおり通る車とバイクには、やはり気分を少しばかり乱された。十石山の登山口に着くと、その先にも駅名の標識が立っており、それは「瀞川平カラマツ並木道駅」だった。林道の案内板を改めて見ると、兎和野高原側を起点と考えているようで、ここから南へとカラマツ林が続くので、このような駅名が付けられたものと思われた。十石山の登山道に入ると、また心が軽やかになった。午後の光で見る紅葉は、また違った味わいがあり、見ていて飽きなかった。十石山の山頂からは、森林浴コースを下って行った。その名からしてのんびりと下って行けるものと思っていたのだが、道は少し荒れており、また往路で歩いた展望コースほどの幅も無く、何となくマイナーな印象を受けた。午後とあって光が届かないため薄暗くなっていることも、マイナー感を持たせたのかも知れなかった。その中にあって、カエデの紅葉がしっとりとした色を見せていた。また下るうちに展望も現れて、東向かいの蘇武岳がすっきりと眺められたりもした。その森林浴コースを下って展望コースにつながる小径に合流すると、そこにコース案内とは別の標識が立っていた。そして「崩壊の危険があるため登山禁止」と書かれていた。特に危険な所は見られなかったが、歩き易さでは展望コースの方が優っているので、展望コースのピストンが良いかも知れないと思った。少し歩くと、展望コースと合流した。後は登山口まで、数分の距離だった。その僅かな距離の途中で、地表に黒い土が小さく盛り上がっているのが点々と見られたが、モグラ道の入口のようだった。駐車場に戻ってきたのは14時半前。上空を見ると、空は相変わらず雲一つ無い青空で、この日は本当にハイキング日和だったと思えたが、結局他のハイカーとは誰一人会わずに終わってしまったようだった。この後は木の殿堂の前に広がる公園で憩いをとり、そしてついでとばかりに木の殿堂にも立ち寄って、もうすっかり観光気分だった。更に帰り道では「万灯の湯」で汗を流したので、一日たっぷり但馬の休日を楽しんでしまった。
(2010/11記)(2021/10改訂)
<登山日> 2010年11月6日 10:07駐車場スタート/10:13展望コースと森林浴コースの分岐点/展望コースを登る/10:50十石山/11:21林道に出る/11:40林道を離れて瀞川山の登山道に入る/11:47〜12:50瀞川山/13:02林道に出る(瀞川山山頂すぐ駅)/13:28林道を離れて十石山登山道に入る/13:54十石山/森林浴コースを下る/14:31駐車場エンド。
(天気) 雲一つ無い快晴。青空は少しうっすらとしている程度だった。気温は始め17℃ほどあったが、登るうちに13℃まで下がってきた。山頂は少しひんやりとした風があったが、弱く吹く程度だったので、爽やかな山頂だった。視界は遠方こそややうっすらとしていたが、まずまず良かった。秋の好日と言える日だった。
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木の殿堂を目指す 沿道の木立が紅葉していた 木の殿堂の入り口に着く そばに駐車場があっ
木の殿堂へと歩いて行くと、すぐに登山口が現
れた
   
登山道は緩やかな道として始まっていた 色付いた木立が多く見られた 地表はすっかり落ち葉に覆われていた
     
みごとな黄葉も見られるようになった 木漏れ日が紅葉を鮮やかに見せていた 登るほどにどの木立も色付きが良くなった
    

 快晴の中を登って
 行く

  蘇武岳がすっきり
  と眺められた
   
ブナの黄葉を見る 紅葉の先に東鉢伏山を見る ササと紅葉の中を歩く
   

 登るうちに氷ノ山
 と鉢伏山の並ぶ姿
 が見られた

     十石山の山頂に着く
     そこは木立に囲まれ
     て展望は無かった
       
十石山を過ぎても紅葉の尾根は続く 紅葉ハイキングは楽しかった 山上が近づくとカラマツ林が広がってきた
   
登山道は瀞川林道に合流した 林道を南へと歩いて行く 林道はカラマツ林が続いた
        
カラマツの黄葉を楽しむ みごとな黄葉はウリハダカエデだった 林道を20分ほど歩いて瀞川山への登山道に入る
        
植林の中を登って行った 山頂が近づくと樹林帯を抜け出した 山頂が目前となった
       
明るく開けた山頂だった 地表が露わだったが草地の部分で休んだ 山頂で二等三角点を見る
      
山頂は素晴らしい展望地だった 北東から東、南へと、伸びやかな風景が広がっていた
     
上の写真の蘇武岳を大きく見る 上の写真の妙見山を大きく見る 上の写真の氷ノ山と鉢伏山を大きく見る
   

 藤無山の方向を大
 きく見る

     南の足下には大笹
     集落が望めた
     
山頂を離れて北西へと登山道を辿る 青いリンドウの花を点々と見た 針葉樹が多く、あまり紅葉は見られない
     
林道に下り着く そこは「瀞川山山頂すぐ駅」
だった
林道は真っ直ぐ続く 北海道の風景を思い出
した
北へと戻って行くと、前方に蘇武岳が望まれた
    
十石山への登山道に入る 午後の紅葉は、いっそうの明るさだった ウリハダカエデの幹を見る
     
十石山が見えてきた 紅葉に包まれる 十石山からは森林浴コースに入る
   
陽射しは無かったが、カエデの紅葉が美しい 陽射しの無い中での紅葉も悪くなかった 蘇武岳がすっきりと眺められるときがあった
    
様々な色の落ち葉を見る 展望コースに合流する 登山口が近づいてきた
   
駐車場に戻ってきたとき、そばのカエデが見事な赤さ
だった 赤い色ではこの日一番ではと思った
木の殿堂の前は公園になっていた ベンチで暫しの憩
いを楽しんだ
木の殿堂にも立ち寄った もうすっかり観光気分だっ