◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <北但馬編> | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
扇ノ山 おうぎのせん | 1310.0m | 若桜町・八頭町・鳥取市 (鳥取県) |
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1/2.5万地図 : 扇ノ山 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2008年4月】 No.5 | 2008-36(TAJI&HM) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
陣鉢山の尾根より 2008 / 3 |
氷ノ山を中心とした一帯の高峰は4月の声を聞いても残雪の登山を楽しめることがあり、2008年もそうだった。残雪はたっぷり残っており、4月と言えども十分に楽しめることになった。そこで残雪期最後の登山を楽しもうと向かったのが青ヶ丸だった。この青ヶ丸を鳥取県若桜町の広留野から登る考えだった。向かったのは4月最初の土曜日のこと。この日は快晴の予想だったが、上空は春霞と言うのか薄モヤが広がっており、薄晴れに近い空になっていた。八頭町富枝で国道29号線を離れて八東ふる里の森へ向かう町道へと入った。志谷集落を抜けて奥へと進むと、除雪は終わっておりスムーズに走って行けた。そして広留野高原への林道へと入った。そこの坂はつづら折れになっており、除雪が済んでいたため安心して車を進めていると、広留野に出る手前の急坂で車がスリップしてしまった。アクセルを踏むがタイヤはただ空転するだけだった。車の外に出ると立っていられないほど道がツルツル状態になっていた。これでは登るのは無理と諦めて引き返すことにした。その戻る途中の坂で重機とすれ違った。その後に続いていた土建会社の車に聞くと、今日一日はまだ除雪作業をするとのことだった。これで諦める気持ちもすっきりして、新たな登山対象を探すことにした。そこまで来ていると一番近い山は扇ノ山となり、扇ノ山も残雪の山として十分に魅力があるので、すんなりと向かう先を扇ノ山と決めて八東ふる里の森に向かった。 扇ノ山の残雪期登山は4年前に同じく八東ふる里の森側から登っていたが、そのときは除雪が十分で無く、八東ふる里の森の手前1.5km程の位置に車を止めて歩くことになった。その心配を考えながら町道を奥へと走って行くと、除雪はしっかり行われており、八東ふる里の森の手前にすんなり着くことが出来た。そこには他にも2台の車が止まっており、スキー登山の二人連れがちょうど歩き出そうとしていた。こちらもそのそばに駐車とした。その駐車地点の先から扇ノ山林道が始まっているが、除雪は全くされておらず、すっかり雪に隠されていた。雪の量は50センチ以上あるため、スノーシューを履いてスタートとした。暫くは細見川沿いの林道を緩やかに登って行く。林道の雪は多かったが、周囲の山肌は地肌の見えている所も多く、雪の残っている所でも木々は根明けの風景だった。気温は谷あいにもかかわらず10℃ほどあり、朝の冷え込みは無かった。前方にはスキー登山者が見えていた。やがてその前方に扇ノ山の尾根が見えて来た。まだまだ白く冬の姿だった。そして振り返ると南の方向に白い山が見えていた。そちらは東山のようで、3月の白さからは幾分黒みが増したようだった。その東山はうっすら見えており、上空の薄晴れの様子からして、この日の視界は春霞が強いようだった。雪道歩きとあって河原谷林道の分岐点には50分かかっての到着となった。そこからはトレースが二手に分かれた。一つはツボ足で真っ直ぐ尾根を目指していた。もう一つは先行するスキー登山者のもので、まだ林道を歩いていた。こちらも林道を今少し登ることにした。そして数分歩いた所でスキー登山者に追いついた。どこから取り付こうかと考えているようだった。雪の量が多くて登山口が見当たらないようだった。地図を見るとその一帯はなだらかな地形のため、どこから取り付いてもあまり変わらないように思えた。そこでこちらは近くに見えた小さな尾根を登って行くことにした。初めは急斜面だったが勢いをつけて登って行くと、植林地の尾根に出た。もうその尾根は山頂から南東へ延びる大きな尾根につながっているのが分かっていたので、尾根のままに登って行った。尾根にはトレースは無く自分で足跡を付けて行くが、スノーシューはあまり潜ることも無く、無難に登って行けた。やがて白い尾根が見えて来た。山頂に続く尾根だった。その主尾根に出ると、そこにはトレースが付いていた。一人の足跡でスノーシューの跡だった。もう尾根はすっかり白くどこでも歩けてしまうので、トレースを気にせず適当に登って行くことにした。背後には氷ノ山の尾根が大きく横たわっていた。そして1194mピークに着くと、南東に青ヶ丸と仏ノ尾が仲良く並んでいるのが間近に眺められた。春霞でやや淡い見え方だった。もうその位置からは山頂の避難小屋も良く見えていた。その手前にはブナ林が広がっている。山頂が間近になると尾根の斜度はきつくなったが、ブナ林の中を登るようになって雰囲気は一段と良くなり、この辺りが雪山の扇ノ山登山では一番楽しい所と思えた。一歩一歩を確かめるようにゆっくりと急坂を登り切ると、そこには真っ白な雪面にぽつんと避難小屋が建っていた。漸くの山頂到着だった。てっきりこの山頂で先行者と会うものと思っていたのだが、誰もおらずひっそりとしていた。トレースを付けた先行者ははや下山したようだった。山頂では冷たい風を受けることになり少し肌寒さを感じたが、すっぽりと雪に包まれた山頂を少し散策することにした。但しパートナーは小屋の中で休むと言うので、一人でぶらぶら歩くことにした。前回の登山では今少し雪が少なかったためか山頂からの展望は木々に隠され気味だったが、この日の山頂は雪の多い所で2メートルはありそうで、十分な展望が広がっていた。山頂から改めて青ヶ丸と仏ノ尾を眺めると、青ヶ丸の背後に鉢伏山が重なって見えていた。その山並みを背景に畑ヶ平が見えていたが、そこも真っ白な世界だった。避難小屋の前に戻って来ると三名が着いており、いずれもスキー登山者だった。軽い昼食後に南西の尾根も少し散策しているうちに、山頂では1時間ほどを過ごしていた。さて下山だったが、往路を引き返すことを最初は考えていたのだが、山頂から南西に延びる尾根にツボ足の足跡が付いていた。地図を見ると姫路公園コースを登って来たようだった。このコースを下ると林道を長時間かけて戻ることになるが、特に急いで戻る必要も無く、それとまだ知らぬ尾根を歩いてみたい気持ちも起きてきて、この南西尾根を下ることにした。尾根は登って来た南東尾根よりもずっとなだらかで、木々も疎らな中をスムーズに下って行けた。振り返ると真っ白な山頂が見えており、扇ノ山が残雪の山として魅力のあることを見せていた。ところで尾根に付く足跡のままに下っていたのだが、頭から姫路コースと思っていたため深く考えもせず尾根を歩いていると、どうも方向が南西で無く西に向かっていることに気が付いた。もうそのときは引き返すには距離がある上、その尾根は歩き易いため尾根なりに下ってしまうことにした。尾根の雪は次第に減って地肌の見える所が増えて来た。北隣の尾根はネマガリダケで覆われているようだったが、そちらにはほとんど雪は残っていなかった。足下に河原谷林道が見えて来ると、今歩いている尾根の雪もぐんと減って来たので、後は林道に出るまでスノーシューを脱いで下った。林道に出たのは14時過ぎだった。予定していた位置よりもずっと西に下り着いてしまったが仕方がない。後はひたすら林道を歩くのみ。林道にはたっぷり雪が残っているため、再びスノーシューを履いて歩き出した。その林道歩きで唯一の楽しみはフキノトウを摘むことだった。これだけメインコースから離れていると法面に顔を出したフキノトウは手つかず状態で、それをぽつぽつと摘みながら林道を歩いた。それにしても林道歩きは長かった。始めはひたすら緩やかに上り坂が続き、姫路コース登山口に着くまでに40分がかかることになった。その先で林道は尾根を大きく南に迂回するが、それを林道のままに歩くのはばからしいので、そこは急斜面を登ってショートカットした。それだけでも20分ほどは短縮出来たのではと思えた。その先は下り坂になって少しは楽になった。そして漸く河原谷林道の起点に着いたときは、林道に下り着いてから2時間が経過していた。そこから駐車地点までは更に40分の距離が残っていた。 こうして駐車地点に戻り着いたときは、山頂を離れてから4時間半近くが経っており、さすがに足はくたくたになっていた。それでも足に痛みが出ることも無く無事歩き終えたのは、どうやらスノーシューのおかげかと思えた。これがワカンなら雪面に降ろす足の動きが今少し均等で無くなるためずっと足は疲れていたのではと思うと、長時間の雪道歩きにはスノーシューは断然便利なグッズであることを身をもって知った。 (2008/4記)(2021/12改訂) |
<登山日> | 2008年4月5日 | 9:06スタート/9:58林道分岐点/10:08林道を離れる/10;38尾根に出る/10:58[1194]mピーク/11:38〜12:40山頂/13:20[1116]mピーク/14:15林道に下り着く/14:55姫路登山口/16:21林道分岐点/17:00エンド。 | |
(天気) | 上空は青かったが、薄晴れと呼べそうな空。視界はモヤがかっており、遠くは薄ぼんやりとしていた。尾根に出たときは風も無く暑さを感じたが、山頂が近くなると風が出て来た。山頂では少し冷たさのある西風を受ける。午後も薄晴れの天気が続いた。雪はたっぷりと残っていた。気温はふもとで10℃、山頂では16℃まで上がっていた。但し山頂では風のためにあまり暖かさは感じなかった。 | ||
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