後山を登ることを考えたとき、やはり駒の尾山までの県境尾根歩きを楽しみたくなる。そうなると一番それに叶うのは、千種町の駒の尾山登山口そばに車を止めて、そこを起点に周回するコースではと思われる。その考えを2010年3月に実行しており、そのときは先に駒の尾山に立ち、そこより東へと歩いて船木山、後山に立つと、引き返して船木山のそばから鍋ヶ谷林道へと下った。鍋ヶ谷林道を起点まで歩くと、駒の尾山登山口は目と鼻の先だった。2013年秋に再びその県境尾根を歩きたいと考えたとき、やはり周回コースにしたく、そこで逆順で歩くことにした。11月2日の土曜日のことだった。朝の空は快晴で、程良い涼しさもあって絶好の登山日和だった。予定通り駒の尾山登山口そばにある駐車場に車を止めて歩き出した。県道72号線を西河内集落の方向へと歩くと、数分で鍋ヶ谷林道の入口が現れた。その林道に入るとすぐの所で伐採作業が行われており、車の進入は禁止になっていた。禁止でなくとも道路の一部は重機によってぬかるみ状態になっており、四駆車以外の通行は難しいように思われた。そこを過ぎると普通の林道となり、傾斜が緩やかだったこともあって、のんびりと歩いて行けた。木々は紅葉を始めており、きれいに色づいたものも見られた。但し10月に暖かい日が続いていたこともあってか、全体としては色のくすみが強く、鮮やかさは少なかった。船木山登山口に着いたのは、林道入口から40分ほど経過したときだった。やや急坂の登山道を登って行く。しっかりと足を踏みしめて登る感は悪くなかった。気温は13℃ほどだったので、登る分にはじんわりと汗をかく程度で、無理なく登って行けた。植林地を登ることが多かったが、自然林もときおり現れて、紅葉を愛でることも出来た。周囲にササが見え出すと、その枯れが目に付いたが、3年前と比べてどんどん減っている感じでも無かった。登山口から休まず登ったこともあってか、登山口から県境尾根までは45分だった。尾根に着いた位置は船木山山頂にごく近い位置なので、まずは船木山に立った。そこからは東へと歩いて後山に向かった。快晴だった空は雲が増えており、北の空こそ青空が広がっているものの、南から西は薄雲が広がっていた。それと意外と視界が悪く、近くこそまずまず見えていたものの、遠くは薄ぼんやりとしていた。氷ノ山は輪郭がうっすらと分かる程度だった。県境尾根は少しササが刈られたようで、十分な道幅になっており歩き易かった。そして前方に後山が現れて、それが次第に近づいてくるのは悪くなかった。やや急坂があり、それを登りきるとそこは後山の手前の小ピークで、そこより100mほど先が後山の山頂だった。先着者は一名のみで静かな山頂だった。祠のそばで休憩とする。そのとき気が付いたことは、そばの木立に枯れかかっているものが多くあったことで、少々気になった。うっすらとした視界のため、山頂に着いてようやく眺められた植松山などの東の山並みも、薄ぼんやりとしか見えていなかった。山頂では昼食をとったこともあって30分ほどの休憩をとった後、引き返す形で駒の尾山までの縦走を開始した。このまま空は曇ってくると思っていたのだが、むしろ逆で、また青空が広がり出していた。おかげで陽射しの中での尾根歩きを楽しめた。その尾根歩きの様子は下の写真帳を見ていただきたいが、展望あり樹林の美しさあり、またササの茂る風景を眺めるのも悪くなかった。尾根は緩やかに続いて、何度歩いても楽しい尾根だった。一部の木立は紅葉しており、それも楽しめた。船木山を過ぎ、鍋ヶ谷山を越え、そして次第に駒の尾山が近づいてきた。その頃になると再び雲が増えようとしていた。駒の尾山に着くと、もう十分に尾根歩きを楽しんできたとあって、単に駒の尾山に着いてしまったと言うぐらいの思いだった。そのため休憩も少時にとどめて下山に移った。下山は避難小屋まで引き返し、そこから北へとダルガ峰へと続く尾根に入った。その尾根も雰囲気は悪くなかった。途中から丸太の階段道の下りが続き、大海里峠に着くと尾根を離れて登山口へと通じるコースに入った。その下山コースは樹林帯が主体となり、この日では一番平凡と言える道だった。東の方向へ山襞なりに緩やかに下るので、なかなか高度を下げなかった。そのため早く登山口に出たいとの思いになり、途中からは早足気味に下って行くと、駒の尾山から1時間で登山口だった。この日は休憩時間を入れると5時間のハイキングとなり、それに見合うだけの楽しさがあったとの思いで車に近づいた。
(2013/12記)(2020/5改訂) |