北アルプスの鷲羽岳、水晶岳はどの登山口からも離れているため、最低3日、余裕を持ったスケジュールを組めば5日は必要と思われた。その二山を目指したのは2019年7月末、遅い梅雨が明けて漸く晴れが続くと予想された週でのことだった。登山口は新穂高と決め、移動を含めて4日の日程とした。
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(7月30日)自宅を離れたのは深夜の1時あった。当初の予定は3時だったが、1時前に目覚めてしまったのでそのまま出発としたものだった。山陽道、新名神、名神、東海北陸道と走って行くが、途中で仮眠をとったこともあって中部縦貫自動車道の高山ICを降りたときは午前6時を過ぎていた。天気予報ではこの日から晴れが続くはずだったが、上空は雲が広がっていた。国道41号線から国道158号線へと入り、平湯で国道471号線に折れた。そして7時半過ぎに新穂高の無料駐車場に着いてみると、200台分の駐車場は完全に満車状態だった。それでもごく僅かな隙間を見つけて何とか駐車したが、駐車するだけで少々時間をロスしてしまった。まずは北へと歩いて新穂高センターで入山届けを済ませると、後は蒲田川沿いの車道を歩いて登山口に向かった。車道は林道となり、車止めが現れるとそこが登山口のようで、その先は一般車は通行禁止になっており車を気にせず歩けることになった。林道の名は左俣林道で、ごく緩やかな上り坂だった。後はわさび平小屋を過ぎた先で小池新道に入り、この日宿泊を予定していた鏡平小屋までひたすら登って行くのだが、北アルプスの定番コースの一つでもあるので、その登山の様子は下の写真帳をご覧いただきたい。ゲートの位置からわさび平小屋までは70分かかり、更に20分歩いて小池新道に入った。小池新道を登り出しても上空は曇り空のままで、見えるはずの尾根はガスに隠されていた。これは登ることに関してはかえって有り難く、暑さに苦しむこともなく登れたのは良かった。また鏡平小屋までなので急ぐ必要は無く、マイペースを保って登った。それは良かったのだが、イタドリヶ原を過ぎてガス帯へと入ったときハプニングが起きた。曇り空と言ってもけっこう汗をかきながら登っており、その汗がカメラを濡らしたようで、いきなりと言った感じでシャッターがきれなくなった。これには少々あせったが、とにかく登って行くことにした。そのうちにときおりシャッターが動くときがあり、そのときに撮影するようにした。予定していた鏡平小屋に着いたのは13時半のこと。かなり疲れていたが、曇り空のおかげでまだ少しは歩けそうだった。そこで時間的に次の双六小屋まで行けそうだったので、予定を変更して双六小屋まで進むことにした。山上の天気は雨まで予想していたのだが、そのようなことは無く鏡平小屋辺りからは尾根のガスが薄れ出した。おかげで少しは周囲を眺めながらの尾根歩きが出来るようになり、その感じで16時過ぎに双六小屋に到着となった。やはり夏山の最盛期に入ったことで双六小屋は混雑しており、ふとん二枚で三人が寝ることになった。 -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
(7月31日)この日の朝の空はガスが多いものの青空も見えており、晴れが期待出来そうだった。双六小屋を離れたのは6時を大きく回ってからで、この日は鷲羽岳を三俣山荘からピストンする予定だった。当初の予定では鏡平小屋からのスタートだったので、ほぼ一日を使う行程だったが、双六小屋からのスタートとなったのでスケジュールとしてはずいぶん楽になった。三俣山荘へのルートは三っつあり、その中で一番楽な巻き道コースを歩いた。双六小屋から三俣峠まで2時間近くで、更に35分で三俣山荘に到着した。その間に天気はどんどん良くなっており、明るい空に鷲羽岳をすっきり眺めながらの到着だった。これだけ早く着けばこの日の予定を水晶小屋に変更しても良かったが、のんびり北アルプスに浸るのも悪くないと思って、予定通りこの日は鷲羽岳登山だけにとどめることにした。早々と三俣山荘の宿泊手続きを済ませると、ザックをサブザックに代えて鷲羽岳に向かった。その登山の様子は下の写真帳をご覧いただきたい。鷲羽岳は正面にガスに隠されることもなく見えておりそのまま晴れの山頂を期待したが、登るうちにガスが増えてきて上空の青空は少なくなってきた。そして山頂に着いたときは周囲にもガスがあって展望は一部に限られるまでになっていた。この程度かと諦めていると、休むうちにガスはどんどん薄れ、周囲の山並みのガスも薄れて好展望を楽しめることになった。水晶岳だけでなく南には槍ヶ岳も眺められたのは喜ばしい限りだった。山頂では一時間半ほどのんびり長休憩で過ごすと、下山は往路を引き返して三俣山荘へと戻った。そして午後は小屋の中でもひたすらのんびりと過ごした。但しこの日も布団2枚を3人で寝ることになった。
(2021/9記) |