北岳山荘で目覚めたのは7月20日の未明の時間。その未明より間ノ岳登山を目指す人が何人かいたようで、小屋では3時前からゴソゴソ音が聞こえていた。そのことよりも寒さで目覚めたと言うのが正しいようだった。白根御池小屋と同様に北岳山荘はコロナ禍対策として、敷き布団はビニールに包まれており掛け布団は無かった。替わりとして寝袋持参が義務付けされており、そこで夏用の寝袋を用意していたのだが、白根御池小屋では問題なく眠れたのに北岳山荘では少し薄かったようで、肌寒さを感じて目覚めた。ちなみに部屋の気温は12℃だった。朝食は5時半。前日に北岳、間ノ岳の登山を済ませていたので、この日は北岳は通らず巻き道コースとなる二俣コースで下山を予定していた。そこで6時半頃からでも下山を始めようかと考えていたのだが、この日も朝の空は快晴で雲は見なかった。前日の間ノ岳は快晴だったのだが、北岳は山頂に立っていた午前9時頃のみガス雲がかかっており、山頂からの展望はあまり楽しんでいなかった。そこでこの日も北岳を登ることにした。北岳山荘を離れたのは5時15分のこと。宿泊者は間ノ岳を目指す人がほとんどのようで、北岳に向かう登山者は見なかった。前日の疲れはあったものの足に痛み等は無かったので、ゆっくり登ることだけを心がけて登った。早朝とあって気温が低いのも助けとなって、ほとんど休まずに登って行った。その時間帯に下ってくる人は無く、マイペースの登りだった。山頂が近づくと急斜面となったが、そこはジグザグに道が付いていたので、さほどきつさは感じなかった。山頂に着いたのは6時21分のこと。北岳山荘から1時間少々だったので、ほぼコースタイム通りだった。先着の登山者は北岳肩の小屋に泊まっていた人のようで、まだ早朝の時間帯のためか数人だった。前日と違ってこの日の北岳山頂にガスは全く無く、360度の展望を楽しめることになった。気温も12℃で空気は爽やかそのものだった。展望に関しては下の写真帳に譲るとして、すっかり満足の北岳山頂だった。後は広河原まで標高差1700m近くをひたすら下るのみ。広河原バス停14時発のバスを目指していたので、ゆっくり下っても問題は無かった。まずは北岳肩の小屋へと下った。まだすれ違う人はほとんどおらず、ゆっくりと高山植物を眺めながら下った。肩の小屋まで25分だった。小屋前で小休止をとると、次は白根御池小屋まで800m近くの下りだった。漸く登山者とすれ違うようになったが、登山者は白根御池小屋に泊まっていた人のようだった。小太郎山分岐からの下りは前日の登りでは何ともきつく感じた所だったが、やはり下りは楽だった。前日のきつさを思い出しながらマイペースで下った。下るうちに足下に白根御池が見えてきた。その背後は鳳凰三山だった。白根御池小屋まで80分だった。小屋の前でも一休みをとったが、まだ時間は9時だったので、急がずとも14時のバスには間に合いそうだった。その白根御池小屋からの下りは、前日に感じた沢風の涼しさはあまりなかったため、けっこう暑さを感じての下りとなった。それでも下りとあってさほど休憩を取らずに下ったので、広河原山荘までは1時間50分と更に予想よりも早く着くことになって、12時まで1時間近くも残っていた。これでは14時どころか12時のバスにも十分乗れそうだった。山荘前で暫く休んだ後にバスターミナルに戻って来ると、乗り合いタクシーの呼び込みに誘われた。値段もバス運賃とあまり変わらないので、バスは止めて誘われるままにタクシーに乗ることになった。そのため広河原を11時45分に離れることになり、更にタクシーはバスよりも早いとあって、芦安のバスターミナルには12時半に戻ってきた。何ともスムーズな下山だった。その芦安ではバスターミナルに立ち寄り湯があったので、一風呂浴びてから芦安を離れることにした。駐車場に戻ってザックを降ろすと、その立ち寄り湯がある白峰会館へと徒歩で向かった。
(2021/10記) |