◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <岐阜県の山> | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
蕎麦粒山 | 1296.6m | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
そむぎやま No.2 | 揖斐川町(岐阜県) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
小蕎麦粒山 | 1230m | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
No.1 | 揖斐川町(岐阜県) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1/2.5万地図 : 神子畑 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2008年10月】 | 2008-101(TAJI) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《蕎麦粒山》 一ぷく岩より 2008 / 10 | 《小蕎麦粒山》 蕎麦粒山より 2008 / 10 |
一所懸命に登る山として蕎麦粒山は印象に残っているが、その2006年10月の登山はガスの中での登山となってしまった。登山中は近くの尾根を見るだけで、素晴らしいはずの山頂展望を味わうことは出来なかった。そもそも蕎麦粒山を強く意識したのはその一週間前のことで、その日も蕎麦粒山を目指していた。ただ色々と勘違いがあって、結果として東向かいの五蛇池山に登ってしまったのだが、そこから見た蕎麦粒山が強い印象だった。山肌をうっすら赤く染めた端正な姿に、素直に美しい山だと思ってしまった。そこで次の週に再挑戦としたのだが、ガス中の山頂となってしまった。そこで機会があればもう一度登ってみたいとの思いが心の中に止まっていた。その蕎麦粒山の二度目は2年後の2008年10月に漸く実行とした。どうも秋の蕎麦粒山ばかりである。その蕎麦粒山は登山口までのアプローチに時間のかかる山なので、早朝には歩き始めたく、そこで車中泊での移動で向かうことにした。ところで前回の登山ではパートナーと同行したのだが、このリベンジ登山にパートナーを誘ったところ、2年前のヤブコギをよく覚えており、また夜間移動を伴うので、あっさり断られてしまった。ただこちらは行く気になっていたので、単独行で実行とした。 出発したのは10月24日金曜日の夜。蕎麦粒山に近づくには関西からなら北陸道の木之本ICで下りるのが早いと思われるが、岐阜側に土地勘があったので、大垣ICから向かうことにした。岐阜までは遠くないので、ゆっくりと80km走行を保ち、23時を回って伊吹PAに着いた。ここで仮眠とする。その伊吹PAでけっこう寝込んでしまい、起きたときは4時半を過ぎていた。予定通り大垣ICを下りると、後は国道258号、303号と走って、揖斐川町の坂内(旧坂内村)を目指して行った。そしてまだ薄暗さの残る6時過ぎに坂内に入り、大谷川沿いの林道へと車を進めた。その林道終点の駐車地点には、他に車は見られなかった。未明の時間に走っているときから空の暗さが気になっていたのだが、薄明るくなって分かったのは、空がすっかり曇っていることだった。天気予報の晴れを信じてのこの日の山行だったのだが、ちょっとこの空には戸惑いを感じると共に、またガスになるのではと少しいやな予感もした。前日の雨の影響が残っているのかも知れなかったが、晴れを期待して行動開始とした。この蕎麦粒山の登山口までは駐車地点から大谷川沿いの小径を1時間半ほど歩かなければならない。元々は林道が川沿いを更に続いていたのだが、崩壊が進んでおり、その部分は迂回することになる。またその先の林道は痕跡も無く、ただの草ヤブになっている。迂回部分では前回と同程度の印象だったが、その先で大谷川に近づき出すと、前回以上に歩き難くなっていた。一段と草ヤブが進んでおり、常に草をかき分けながら歩くことになった。その草が雨と朝露で濡れており、途中からたまらず雨具を着て歩くことになった。大谷川の左岸を歩くようになっても同じで、ひたすら草ヤブが続いた。ときに小径の消えることもあり、アプローチ道でヤブコギとは、何とも難儀なことだった。左手に見えていた大谷川に近づき、川の中も歩くようにもなると、程なく登山口が見えてきた。登山口は右岸にあるため、水量の増した大谷川を注意して渡った。それにしても登山口の標識はごく小さなもので、注意していないと十分に見落とす可能性がありそうだった。現に2年前は一度見過ごして行き過ぎてしまい、その日の蕎麦粒山登山を断念している。この登山口に着いて漸く朝食とした。その登山口より急坂の登りが続くが、それまでの草ヤブ歩きと比べると、楽と言えるかも知れなかった。ロープもあり、掴まる木の根や枝があって、順調に高度を上げた。心配していた空は相変わらず雲に覆われていたが、少し明るさを増しており、ガス雲として下りてくる気配は無かった。主尾根へと支尾根の登りも半分を過ぎると、東向かいの五蛇池山が見えてきたが、けっこうはっきりとした見え方で、天気としては悪く無さそうだった。また辺りの木々は色付いたものも見られ、紅葉は進んでいるようだった。支尾根はまずまずの登り易さだったが、次第にシャクナゲが灌木ヤブとして煩わしくなってきた。そのシャクナゲを避けているうちに主尾根と言うか、南からの尾根に自然な形で合流し、尾根の方向は小蕎麦粒山に向かい出した。そして左手に蕎麦粒山が見えるようになった。意外と近くに見えており、ガスも無くすっきりと見えて一安心だった。その主尾根を歩くようになってシャクナゲのヤブコギは減ったが、それに替わって他の灌木類が相変わらず登山道に被さり、なかなか歩き易くはならなかった。ずっと枝を払っていくが、そこでも前回よりヤブコギをしている印象だった。その間に尾根は緩やかになっており、そして蕎麦粒山と小蕎麦粒山の分岐点となる小ピークに着いた。それまでもときおり蕎麦粒山を眺められたのだが、そこにある露岩は一等の展望地だった。露岩には「一ぷく岩」と名が付いており、そこに立つと蕎麦粒山がどんと眺められた。北には小蕎麦粒山も手に取る位置だった。東の五蛇池山はもう足元の位置になっていた。ここまでで歩き始めてから3時間経っており、前回よりもかかっているようだった。前回はガスの中とあって足を止めることも少なく、黙々と登っていたためであろう。もう山頂にはあと1時間ほどで立てそうなので、そのまま急ぐことも無く歩くことにした。ただその先はネマガリダケの笹ヤブとなっており、のんびりとあるく訳にはいかなかった。今度は道に被さるネマガリダケを起こしながら歩くことになった。それでも尾根にはブナ林があったり鮮やかなカエデを見たりと、ヤブ山ならではの雰囲気の中で紅葉を楽しめた。蕎麦粒山が間近になると、坂の傾斜はきつくなり、また道の不確かな所も現れた。そこは進む方向を見誤らないようにと注意しながら登った。この登りとなってネマガリダケは減ったが、また灌木のヤブ尾根になって、枝を払いながら登ることになった。このヤブコギの連続に少しは嫌気もさしていたが、心のどこかではいかにもしっかりと登っていることを楽しんでもいた。それもたった一人でこの山中をもがいていることに、ヤブ山ならではの面白さも感じていた。傾斜が緩くなって山頂が近いことは分かったが、それでも灌木ヤブは続き、漸く歩き易くなったと思えた所が山頂だった。三角点を中心にごく狭い範囲で開けていた。そしてすっきりとした展望が広がっていた。思えば2年前にここに立ったときは、ただガスを見ているだけのため、もやもやとした気持ちになってしまったのだが、その気持ちに整理をつけたくて来たようなものだった。その展望だったが、空は相変わらず高曇りで陽射しは無かったが、視界としてはけっこう澄んでいた。間近に大きな山が無いので全体に広く眺めると言った感の展望だったが、その中に目立つ山はないかと眺め回すと、小蕎麦粒山の右手後方に御嶽山がその独特の風貌で目に付いた。その左には乗鞍岳、そして目を凝らせば北アルプスの槍、穂高もうっすらと見えていた。南に山頂だけを覗かせているどっしりとした山は伊吹山のようで、そちらの足元側を見ると、坂内集落の佇まいが眺められた。東には五蛇池山が見えていたが、その五蛇池山よりも尾根続きとなる黒津山の方が高いので、そちらの方が堂々と見えていた。他にも北には能郷白山を、その左手遠方にうっすら見えているのは白山のようだった。また三周ヶ岳を始めとして揖斐川町の山々も手に取るようで、見ていて飽きない眺めだった。そしてひたすら静かな山頂でもあった。山頂への道は今少し西に続いており、そちらに歩いて行くと、西から北の展望が山頂よりもすっきりと眺められた。ヤブコギの後に出会えるこの展望は蕎麦粒山ならではのもので、しみじみ来て良かったと思えた。この山頂に立っていたのは1時間ほど。その間に訪れる人も無く、終始一人のままだった。下山は ただ歩いてきたルートを引き返すのみ。下山は道が分かり難くなっていた急坂の所を方向を確かめながら下ると、後は尾根なりに戻るだけだった。往路と同じく紅葉の進んだ木々を眺めながらゆっくりと歩いた。そして歩く先に小蕎麦粒山が見えていた。けっこう端正と言える姿を見せており、ちょっとした独立峰にも見えていた。まだ12時を回ったばかりでもあるので、その小蕎麦粒山にも立ち寄ることにした。一ぷく岩のある分岐点ピークに着き、一息入れたのは12時半過ぎのこと。その一ぷく岩からは小蕎麦粒山が間近に見えているのだが、よく見ると山頂手前に大きく露岩が見えていた。まずはそれを目指して小蕎麦粒山への小径を歩き出した。その小径が続くものと思っていたのだが、すぐに消えて、辺りは灌木の多い雑木林が広がっていた。方向を定めて歩いて行くと尾根を歩くようになり、踏み跡程度の小径を追えるようになった。ただそれまでの蕎麦粒山コースに比べると、一段とヤブになった印象だった。踏み跡の上を灌木が覆うので、それをかき分けてかき分けての登りは純粋にヤブコギだった。それでも10分も歩くと露岩の前に出た。その露岩を右手から巻くようにして登ると、スムーズに露岩の上に立てた。やはりそこは好展望地で、一ぷく岩と同様にすっきりと蕎麦粒山が眺められた。もう山頂は指呼の距離だった。ただその先はネマガリダケが増えて、笹のヤブコギとなった。もうこれだけヤブコギが続くと、これが当たり前の感じで、その状態で山頂に着いた。露岩部から5分の距離だった。山頂は猫の額程度に笹が刈られて、ぽっかりと穴が開いている感じだった。その無造作な雰囲気も悪くなかった。そこには真っ赤に紅葉したウルシが目立っていた。振り返ると蕎麦粒山がネマガリダケの上に半分姿を見せていた。その蕎麦粒山の見え方も感じが良く、暫しの休憩だった。もうこれで予定終了。後は尾根をひたすら下って戻るだけだった。ここからの尾根は尾根筋がはっきりしているので、コースのことは気にせず周囲の紅葉を楽しみながら下って行った。相変わらず空は雲が広がったままで、太陽はときおり輪郭を見せるだけだった。ただ気温は朝から12〜13℃と涼しいままで続いており、登山としては良い感じだった。急坂を下って大谷川に下り着くと、また長々と草ヤブコギを続けることになった。この川沿い歩きとなって皮肉なことに、空に青空が見られるようになった。陽射しも現れてその光をまぶしく感じたりもした。ちょっぴり残念な気持ちも起こったが、駐車地点に戻り着く頃には再び薄晴れに戻っていた。 この下山後に、山頂から見えていた坂内集落に立ち寄ってみた。集落からは蕎麦粒山がすっきりと夕暮れの色に染まりながら見えていた。その端正な姿を見ながら、蕎麦の実(粒)に見えなくもないと暫しの間眺めていた。 (2008/11記)(2021/12改訂) |
<登山日> | 2008年10月25日 | 6:22スタート/8:10〜20蕎麦粒山登山口(朝食)/9:34〜41分岐点(一ぷく岩)/10:35〜11:30蕎麦粒山山頂/12:31〜40一ぷく岩/12:52〜57露岩の展望地/13:02〜08小蕎麦粒山/13:13〜24露岩の展望地/13:35〜38一ぷく岩/14:34〜41蕎麦粒山登山口/16:02エンド。 | |
(天気) | 高曇り。天気は良くなっても薄晴れまでだった。気温は12〜13℃。尾根に取り付いた頃は少し風があって肌寒かったが、山頂に着く頃には風は収まっていた。曇り空ながらも視界は悪くなく、遠くまで良く見えていた。 | ||
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