日生町に近い烏泊山は一等三角点の山であり、遊歩道が有るとの情報も得て期待して向かった。2003年3月初めのことで、国道250号線を走って日生の町並みを抜けると、旧日生町と備前市との境界が近くなったとき、右手の車道に入った。その道を進むときっちりと西灘池のそばに出たので、道は間違っていなかったことが分かり、一安心だった。その西灘池の北西側に案内板があり、遊歩道が描かれていた。車は池の北側にある駐車スペースに駐車した。案内板の位置より遊歩道が始まっていた。遊歩道は荒れていたが、車が通れる道幅があり、緩やかな上り坂で続いていた。この遊歩道と平行する斎場への車道が右手に見えていた。遊歩道はやがて左に折れると、そこからは丸太の階段となって、ようやく遊歩道らしくなった。但し、ススキなどの雑草が茂っており、意外と草深くなっていた。道の傾斜が少し増して丘の上に出ると、コースは二手に分かれた。左の道が直登コースのようで、早く山頂に着いてしまいそうだった。ここは時間をかけて登りたく、右手のコースに入った。予想していた通り東側に回り込むように遊歩道は続いていた。ところが緩やかなままでなかなか上り坂にならなかった。いっそう草深くなりイバラも現れてきた。遊歩道として作ったものの、利用者が少なく荒れてきたようだった。ずいぶん東に回り込んで更に下った所で、沢沿いの遊歩道と合流した。小橋を渡った所から漸く上り坂となって安心した。雑草も少しは減ったようだったが、イバラが多くあってよく服にひっかかった。遊歩道は順調に高度を上げて、山頂が近くなってきたとき東に展望が現れた。兵庫県境へと続く邑久丘陵の山並みが広く眺められた。山上に出ると右手は雑木林が濃く視界を妨げていたが、左手は雑草や灌木程度だったため、所々で展望が現れた。その展望に目を向けながら山頂到着となった。やはり目立つのは一等三角点で大きかった。三角点の周囲は冬枯れの雑草が囲んでおり、更にその周囲は雑木林となっていたため展望は悪かった。登山口の案内板には山頂は展望台となっていたので、少し南の方へ下ってみた。すると瀬戸内側に向かって広々と展望が現れた。但し手元は灌木類が視界を妨げていた。そこで手頃な木に登ってみることにした。一気に展望は広がり、東の天狗山方向から南は日生諸島、南西の片上湾まで一望となった。ところでこの山頂に着いたときは晴れ間が広がっていたのだが、すぐに黒雲が空を覆ってきた。程なく小雪もちらつき出すと、強い風も吹いてきた。気温はさほど低いとは感じなかったが、風の冷たさに肌寒さもひとしおだった。重数分待つとまた晴れ間が戻ってきたので、改めて展望を楽しんだ。それもまた十数分だけで、また雪雲が広がってきた。どうやらこの日の天気は、この繰り返しのようだった。再び薄暗くなってきたのを潮時に下山とした。下山は直登コースと言える南の尾根を下って行くことにした。こちらもやはり草ヤブとなっていたが、展望があって気持ちよく下って行けた。直登コースの下りあって、どんどん下って行くと、20分ほどで登山口に着いてしまった。
(2003/3記)(2016/3改訂)(2020/6改訂2) |