初めて熱田岳に登ったのは2009年1月9日だったが、二日後にまた熱田岳を登ってしまった。熱田岳登山の参考にしたのは新・分県登山ガイド「沖縄県の山」だったが、どうもガイドブックの地図は眺めても記事にはさっとしか目を通さない癖があり、9日の下山後に改めて記事を読むと、そこに紹介されているコース通りに歩いていないことが分かった。そして歩いていない所に展望地があると書かれていた。少し心残りに思えたが、9日のコースでも少しは海を眺められたことでもあり、気にしないことにした。それが2日後の11日に再び登ったのは特に予定してでは無く、9日と同様にちょっと時間が余ってのことだった。
11日は沖縄を離れる日だったが、16時までに那覇に戻れば良かった。午前は本部半島の本部富士を登り、それが終わったのが12時前だった。もう一つぐらい登る時間が余っており、近くのデーサンダームイに行こうか、嘉津宇岳を再訪しようかと考えたが、熱田岳に少し心残りがあり、その熱田岳は帰路にあることでもあったので、登っていなかった展望コースを歩くことで、この沖縄山行を締めくくることにした。駐車地点は2日前と同じ森林学習展示館の駐車場。その空は2日前の薄暗い空とはすっかり違って快晴だった。しかも澄んだ青空が広がっていた。そして気温は19℃と申し分なく、すっかり春の陽気だった。近くの広場では親子連れが凧揚げを楽しんでいた。その光景を見ながら車道沿いの遊歩道を歩き、Aコース登山口に近づいた。AコースはBコースと同様にすっかり遊歩道の様で、ごく軽いハイキングだった。樹木に付けられた名札を眺めながら遊歩道を進んで行く。森の中は少し気温は低く17℃ほど。そのうちに尾根を登り出すと、少し坂がきつくなってきた。その坂を上り詰めて尾根が緩やかになった所で展望地が現れた。そこは山頂とほぼ同じ高さで、南隣りのピークだった。西の東シナ海に向かってすっきりと展望が広がっていた。空はすっきりと青空で、海の色はマリンブルーにエメラルドグリーンと鮮やかで、これは足を止めずにはいられない風景だった。北には本部半島があり、その先端近くには伊江島も小さく見えていた。その海の風景だけで無く、南東にはどっしりとした山も見えている。その伸びやかな姿は本部半島からも良く見えていた恩納岳で、近くから見るといっそうの美しさだった。海の風景は当然見えるものと分かっていたが、恩納岳がこうすっきりと見えるとは思っていなかっただけに、ちょっぴりうれしくなった。その展望地では燦々と注ぐ陽射しをたっぷりと受けていたために、20℃以上の暖かさに感じられた。これで今回の沖縄山行には思いを残すことは無くなり、すっきりとした気分で下山に向かった。下山はBコースを下って行くことにしたが、そのBコースの分岐点と山頂とはほんの僅かな距離のため、ちょっと立ち寄る感じで山頂に立ち、そして下山へと向かった。駐車場に戻り着くと、後は那覇に向かうだけだった。その戻る方法として高速道を走ると時間が余ってしまうので、ひたすら国道58号線を走って行くことにした。暫くは海岸線に沿って走るのだが、その海の眺めをただ通り過ぎるだけではもったいなく、少し走り出したときに現れた安富祖の海岸で車を止めた。そして海際に下りて、青い海と対岸の本部半島の風景を名残惜しむように暫し眺めていた。
(2009/2記) |