二度目の多野岳は一ツ岳を目指す道中の寄り道として訪れた。一ツ岳へは瀬嵩林道から嘉陽林道へと走るのだが、瀬嵩林道は多野岳の近くから始まっていた。そこまで来れば当然多野岳に寄ってみたい気持ちが起こるもので、先に多野岳を登ろうと直進する形で多野岳に向かった。前回は山頂まで少しは歩こうと、山頂から少し離れた大きな電波塔のそばに車を止めてそこから歩き出したのだが、この日は山頂の手前、300mほどの位置にある車止めのロープのそばまで車を進めた。前回来たときはそのロープには何も付いていなかったのだが、今回来てみると「立入禁止」の看板が立っていた。廃墟の建物内を探るとかそのような目的では無く、単に山頂の三角点を見ることが目的だったので、遠慮しながらロープを越して歩き始めた。舗装路を5分も歩けば廃墟となったレクレーションホールのそばに着いた。その横の台地が三角点が置かれた最高地点だった。小径に入って台地への階段を登ると、すぐに二等三角点(点名・多野岳)を見ることになった。これで多野岳に来た目的は達したのですぐに戻ってもよかったが、せっかくの展望地でもあるので、少し展望を楽しむことにした。三角点の位置もまずまず展望があったが、周囲を眺めると三角点がある台地の他にも、ほぼ同じ高さの台地が間近に二つあった。その二つの台地の方が展望が良さそうに見えた。そこで両方の台地に立つことにしたのだが、意外にもその移動が容易でなかった。台地と台地の間がすっかり草ヤブになっており、ヤブコギを強いられることになった。北側の台地には軽いヤブコギ程度で立てたが、南側の台地までのヤブコギは厳しかった。草藪に隠れていた水溜まりにずっぽりと登山靴が浸かることもあった。それでも両方の台地に立って得られた展望は素晴らしく、ヤブコギをした甲斐は十分にあった。その展望を楽しんでの多野岳だったが、往復の時間を入れても30分ほどの寄り道だった。
(2023/1記) |