TAJIHM の 兵庫の山めぐり <沖縄県の山 
 
嘉津宇岳    かつうだけ 452m 名護市(沖縄県)
 
1/2.5万地図 : 名護
 
【2006年1月】 No.1 2006-04(TAJI&HM)
 
    名護市屋部地区より  2006 / 1

 2006年1月初めに、3泊4日で沖縄へハイキング旅行に出かけた。初日となる1月8日は那覇空港には14時に降り立ち、レンタカーでホテルのある沖縄本島中部の恩納村へと向かった。途中で買い物をしたり食事をしていると、ホテルに入ったのは19時になっていた。この日は結局、移動のみになってしまった。翌9日がハイキング初日となったが、まず目指したのが本部(もとぶ)半島の沖に浮かぶ伊江島の唯一の山である城山(ぐすくやま)だった。そこで本部半島の本部港を目指して車を走らせた。沖縄本島の西海岸を走る国道は58号線だが、名護市内に入って本部半島を巡る449号線が分かれたので、そちらに入った。すると程なく国道から分かれる枝道の入り口に「嘉津宇岳登山口」の標識を見た。この日は城山の登山は午前中と考えており、午後は本部半島の山に登れれば良いのにと考えていたので、この標識は渡りに船だった。午後は嘉津宇岳と決めた。この標識が現れた後、半島内部の山に注意していると、すぐに見栄えのする山が集落の奥に見えて来た。黒い雲をバックに朝日に照らされたその姿は堂々としており、一目で嘉津宇岳ではと直感された。
 無事に城山のハイキングを終えてフェリーで本部港に戻って来たのは13時半。早速、嘉津宇岳を目指して車を走らせた。午前の伊江島では一時陽射しは出たものの、おおむね曇り空だったが、午後に入って天気は良くなっており、雲が薄れて次第に青空の部分が広くなっていた。登山口へ向かう道に入ると、始めは石灰岩を掘っている鉱山の風景が見られたが、やがて道は山に近づくと林道となって登り出した。林道は道幅こそ狭かったが舗装されており、また所々標識もあって、無難に進んで行けた。中腹まで登った頃、広場に出た。そこが林道終点で、数台の車が止まっていた。広場の一角には展望台が設けられており、またトイレもあって、ちょっとしたレクリエーションの場所になっていた。その広場の南西の隅より登山道の始まっているのが見えた。入口には標柱が立っており、「嘉津宇岳・安和岳・八重岳自然環境保全地域」と記されていた。案内板もあって、この三つの山一帯が対象地域であることが示されていた。登山口のそばに駐車して、早速歩き始める。始めは緩やかな階段道だったが、それが終わると土道となり、少しぬかるんで滑り易くなっていた。なるほど自然環境の保全地域に指定されているだけに、辺りは亜熱帯の植物が繁っており、木も草も本土では見られないものばかりで、その珍しさ目を奪われながら登って行った。やがて急坂になってくると、登山道に小さな岩が幾つも現れてきた。白っぽい岩で、どうやら石灰岩のようだった。その頃より幾人も下りてくる人とすれ違った。子供もおれば高齢者もおり、数家族がグループで登山していたようだった。薄暗い樹林の中、岩の間を登って行くと、やがて周囲が明るくなって来た。山頂が近づいたようである。周囲の木立の丈が急に低くなり、そして山頂に出た。さほど広い山頂では無かったが、高い木は全く見られず、幾つもの鋭く尖った岩がゴロゴロとしている変わった風景だった。岩はやはり石灰岩のようだった。その岩の上を歩いたり、岩の間の僅かな土の部分を歩いたりして最高点に立った。そこにはポールが立っており、何かの旗が強い風にはためいていた。そして高い木が無いため、360度の展望が広がっていた。周囲は自然保護地域の森が広がっており、東から南には名護市街と名護湾の風景が広がっている。沖縄本島中央部の山並みや北東には屋我地島も望まれた。本当に素晴らしい展望だった。山頂には他に誰もおらず、その静かな山頂で沖縄中部の山と海の展望を楽しんだ。北風は涼しく陽射しも柔らかい。沖縄のハイキングは冬に限るのではと思える快さだった。ひととき展望を楽しんだ後、三角点があるのではと周囲を探ったが、見当たらなかった。そこで下山とした。下山はすんなりと登山道を引き返す。駐車地点に戻ると、広場では往路ですれ違ったグループが、球技やたこ揚げをして遊んでいた。この日の帰路に沖縄の景勝地の一つである万座毛に立ち寄ってみた。なるほど海岸美を見せる景勝地だったが、嘉津宇岳山頂での伸びやかな気分は味わえなかった。やはり一汗かいて自然を楽しむのが、最高の観光ではの思いを再確認した。
(2006/1記)(2010/2改訂)(2019/4写真改訂)
<登山日> 2006年1月9日 14:00広場スタート/14:22〜15:01山頂/15:25エンド。
(天気) 午前の伊江島では曇り空だったが、本当に戻った頃から青空が現れて、薄晴れから晴れと言った空に変わって来た。山頂の気温は18℃。北西の風が強く少し肌寒さを感じたが、視界は良かった。
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国道449号線から山を見上げて、これが嘉津宇岳だろうと直感できる存在感があった 広場に着くと登山口の標識があり、遊歩道の雰囲気で登山道が始まっていた 足下に石がごろごろとし出した    
亜熱帯性の樹木に囲まれた登山道を登って行く 登山道から一度、山頂が望まれた 山頂が近づくにつれ大きな石が現れた
   
山頂に着くと尖った岩がゴロゴロとしていた 岩だらけの山頂は展望が良かった 山頂から東を見ると登山口広場が見えていた
   
山頂より北西方向を見る  伊江島は八重岳に隠れて見えなかった 左の写真の八重岳を大きく見る
    

北を見ると自然
保護区の山並み
が広がっていた

鬱蒼とした森を見

山頂より北東を見る 電波塔の並ぶ多野岳はすぐに分かる山だった 東に名護岳を見る 名護市の市街地と名護湾が一望だった
北東方向を見ると、羽地内海の風景が広がっていた 上の写真の久志岳方向を大きく見る
山頂より名護湾の風景を広く眺める  対岸に見る恩納岳は天気が悪いのか煙っていた 国道449号線に戻るとき、嘉津宇岳を振り返る