与那覇岳を初めて訪れたときはまだ分県登山ガイドは出ておらず、国頭村の役場で情報を得てから向かったものだが、そのときから10年以上が経過して改めて与那覇岳を登りたくなった。向かったのは2017年12月のことで、前日の6日は移動だけとなり、宿泊先の今帰仁村の民宿に着いたのは夕方5時前になっていた。
翌7日は曇りの天気予報だったが、本部半島の空は少し雲が多い程度で晴れていた。宿を出たのは8時過ぎ。国道58号線に出ると、北へとひた走った。国頭村に入ると森林公園の案内標識を見たので、そちらへと舗装林道に入った。そして森林公園の近くまで来たとき与那覇岳登山道の案内板が現れたのでそれを眺めると、直進方向となる奥間林道を進めば与那覇岳に近づけることが分かった。奥間林道はアップダウンがあり、程なく大国林道に合流すると、そのそばが与那覇岳の登山口駐車場だった。広い駐車スペースだけでなくトイレも置かれていた。そのそばから山道が始まっていたが、それは私有地の道で入口はゲートで閉じられていた。与那覇岳コースは大国林道を数十メートル南に歩いた所からダートの林道として始まっていた。但し車は入れないようにコンクリートブロックが入口に置かれていたので、車を気にせず歩けることになった。ダート道は東の方向へと続いており、周囲は亜熱帯性の樹林だった。クワズイモやヒカゲヘゴの大きな葉が目を惹いた。林道の気温は18℃程度とあって、ちょうど良い感じで歩けたが、次第に石ころが増えて道幅も狭くなってきた。単に山道と言ってもよさそうな感じになってきた。入口から25分ほど歩くと直進方向にはロープが張られて、右手に分かれた別の道を進むことになった。その道を10分ほど進むと登山道標識が現れて、そこから与那覇岳へと登山道歩きに移った。登山道は自然林の中を程良い歩き易さの小径として続いていたが、次第にリュウキュウチクが増えてきた。途中からはすっかり周囲はリュウキュウチクに囲まれるようになった。その笹の風景は別として倒木がときおり現れて行く手を塞いだ。それでも悪路とは言えず、ちょっとマイナーな道と言える程度だった。この二度目の登山で少し期待したのは展望で、少しは良くなっているのではと思っていたのだが、それは裏切られたようで周囲の樹林に切れ目は無かった。それでも注意しておれば木々の隙間から東の海がちらりと見えることはあった。登山道のままに歩くと三角点ピークに着く前に最高点となる503mピークを通過することになるのだが、いざその503mピークに来てみると、そこはリュウキュウチクにびっしり囲まれた所で単に通過点の雰囲気しかなかった。その最高点を過ぎると下り坂となり、そして登り返した所が三角点ピークだった。そこは三角点を中心に狭い範囲で開けていたが、周囲は樹林にすっかり囲まれていた。その佇まいは前回とあまり変わっていないようだった。展望を求めるのは誰しも同じようで、何人もに登られたと思える木が近くにあったのでそれに登ってみたが、やはり東の海岸線がちらりと見えるだけだった。三角点ピークの南側に同じく狭い範囲で開けた所があり、天測点のような四角いコンクリートブロックが置かれていた。それを見届けてから下山に移った。山頂には枝道もあったが、どこに通じているかは全く分からないので、素直に往路を引き返した。この帰路では東の海を今少し良くみようと手頃な木に登ってみたが、やはり木々の隙間から僅かに見える程度だった。与那覇岳登山はほぼ前回と同じ感慨で終わることになったが、二度目とあって少し余裕を持って歩けたようで、林道ではけっこう周囲の亜熱帯樹林の様相を楽しみながら歩いた。そしてヤンバルの森の奥深い所を歩いていることを実感した。下山後は国頭村森林公園に移動して、前回と同じように憩いの広場に立ち寄ったが、この10年ほどで遊具は老朽化して使用禁止になっており、廃墟の雰囲気が漂っていたのは寂しいことだった。それでも滑り台の上に立って暫し与那覇岳を眺めていた。
(2017/12記) |