TAJIHM の 兵庫の山めぐり <台湾の山
 
七星山    しちせいざん 1120m (台北市)
 
 
【2013年12月】 No.1 2013-100(TAJI&HM)
 
    東峰が近づいてきた  2013 / 12

 国内旅行に行くのと変わらぬ感じで行ける国の一つとして台湾があるが、その首都台北市には千メートルを越す山があり、市民の憩いの場になっていることを知ると、行ってみたくなった。それは陽明山国立公園で、最高峰が七星山だった。そこで2013年の12月、クリスマス休暇をとって4連休で訪れることにした。山を登るのが目的だったが、ホテルはグレードの高いホテルに泊まりたく、インターネットで予約した。そのため航空券もインターネットで予約出来るジェットスター航空とした。日本を離れたのは12月22日で、その日の日本はほぼ快晴だった。乗り込んだのは関空11時30分発3K724便。フライト時間は3時間20分で、台湾の桃園空港には現地時間の14時前に到着した。今回の旅行で全く考慮しておらず失敗だったのは天気のことだった。台湾は冬になると雨期と呼べそうなほど雨の日が多くなるようで、滞在期間の12月第4週もずっと雨か曇りの予想になっていた。いざ桃園空港に下り立ってみると、曇り空でうっすらと青空の覗く所もあって少しは安心したのだが、空港バスに乗り込んで台北市街が近づくと、すっかり曇り空に変わっていた。台北駅でバスを降りた後はMRT(地下鉄)に乗り換えて、東門駅へと移動した。そこよりホテルまでは徒歩で数分の距離だった。その歩いている間は雨は降っていなかったが、夕方より霧雨の天気となった。
 台北二日目の朝は小雨で始まった。ビュッフェを済ませてホテルを離れたのは9時前だった。MRTで東門駅より台北駅に移動し、地下通路で台湾鉄路の台北駅へと歩いた。大きな台北駅の一階に出ると、構内にあったセブンイレブンで昼食用のおにぎりを購入した後、北口より外に出た。そこは近距離バスのバス停になっており、陽明山行きのバス路線である260系統のバス停もそこにあった。小雨の中を7,8分待って陽明山行きのバスに乗り込んだ。バスは若い女性でほぼ占められていたものの、何とか二人分の席を確保した。女性ばかりなのを不思議に思っていると、ほぼ全員が途中の大学前で下車をして、終点の陽明山バス停まで乗っていたのは、こちら以外は一人だけだった。終点で降りると、すぐそばで待っていた陽明山国立公園の循環バスとなる108系統のバスに乗り込んだ。乗ったのはパートナーとの二人だけで、どうも平日の雨の日に陽明山に来る人はごく少ないようだった。この日考えていたコースは雨と言うこともあって、一番易しいと思える小油口登山口からのコースで、山頂までをピストンする考えだった。そこでバスの運転手に小油口登山口まで行きたい旨を伝えたのだが、運転手が何か言ったのを勘違いして、ずっと手前のビジターセンター前のバス停で降りてしまった。とりあえずビジターセンターを訪れたところ、近くにも七星山の登山口の一つである苗圃登山口のあることが分かった。そこで計画を変更して、苗圃コースで登って小油口コースは下山路とすることにした。少し雨が強くなったこともあって、ビジターセンターの中で雨具を着込んでからスタートした。初めての台湾の山はどんな感じの登山道なのかと思っていると、登山口から全くの遊歩道になっていた。しかも石畳の階段で、土を踏むことはほとんど無かった。周囲は当然ながら総て常緑樹で鬱蒼としていた。その下生えとしては沖縄でよく見たクワズイモをここでもよく見かけた。樹林全体の印象も、亜熱帯性のもので沖縄の山とよく似ていた。その常緑樹林の中を、ずっと階段の道が続いた。所々で休憩用のベンチや東屋があって、ハイキングコースとして良く整備されている印象を受けた。道標も確実にあり、登山口から山頂までの2.4kmの中で、現在地がどの地点なのかが良く分かった。山頂まで1kmとなったとき、右手に七星公園への道が分かれた。真っ直ぐ山頂に向かおうと考えていたのだが、七星公園に寄り道することにした。その頃には辺りにはうっすらとガスが漂うようになっていた。また雨は止む気配は無かった。七星公園への道も遊歩道だった。七星公園に着いてみると、樹林を抜け出したためか、一気に強風を受けることになった。そこは広々としていかにも展望の良さそうな所だったが、ガスで何も見えず、強風は雨を伴って横からたたきつけるように吹いてきた。思わずそばの休憩所に逃げ込んだ。その七星公園からは歩いてきた道を引き返す予定だったが、その先も道があり、案内標識を見るとそれは冷水坑登山口への道だった。ただそちらへ向かえば、どうも山頂への道もありそうに思えて、冷水坑登山口への道を進むことにした。その考えは当たっており、長くも歩かず山頂への道が分かれた。山頂への道に入ると急坂を登るようになり、一段と強い風雨を受けるようになった。ただ登山道は石畳の道が続いており、相変わらずの遊歩道だった。視界は数十メートルほどしかきかず、足下を見ながら登るだけだった。最初に着いたのが七星山東峰(1108m)で、岩場の山頂だった。七星公園まではハイカーを見かけていたのだが、それ以後に会う人はおらず、東峰も無人だった。すっかりガスに囲まれた山頂だったので、すぐに本峰に向かった。二つのピークをつなぐ道は笹に囲まれており、笹は風で大揺れだった。本峰までの距離は300mで、13分での到着となった。本峰も岩場の山頂で、東峰よりは広やかだった。そして一等三角点が置かれていた。そこもただガスと強風の世界だったため、山頂に立ったと言う思いだけで、すぐに下山に移った。案内標識に従って小油口登山口を目指した。こちらのコースもずっと石畳の遊歩道だった。但し苗圃コースとは雰囲気が違っていた。小油口コースは火山性の地形を示しており、硫黄の臭いが漂っていた。硫黄の塊も見られ、地表から湯気の上がっている所があちらこちらに見えた。その小油口コースを下るうちに、風が弱まってくれたのは助かった。ずっと石の階段を下って高度を下げた。コース距離は1.6kmと手頃で、しかも登山口の標高は800mを越える位置にあるとあって、40分ほどで登山口到着となった。漸く登山口に戻り着いたことでほっとする思いとなったが、新たな心配が出てきた。それはこの雨の中でどれくらい待てばバスが来るのだろうかと言うことだった。バス停に時刻表は無く、バス停で遅い昼食をとりながら待っていたが、現れる気配は無かった。10分、20分と待っても来ないので、本当にバスが来るのだろうかと疑い出したとき、突然のようにガスの中からマイクロバスが現れた。しかも満員だった。更に驚いたことに、この小油口のバス停に10人ほどが降りてきたことだった。軽装の姿からして、どうやら硫黄が漂っている辺りまでの散策をするのではと思えた。もう大安心と言った気持ちで108系統のバスに乗り込んた。後は陽明山バス停に着いて帰路につくだけだった。
 雨具を着ていたと言えども終日の雨で衣類も靴もすっかり濡れて、全身は冷え切っていた。ホテルに戻ってバスタブに浸かったときは生き返る思いだった。そしてその夜は鍋料理を食べて、体の中も暖かくした。
(2014/2記)(2020/10改訂) 
<登山日> 2013年12月23日 10:54ビジターセンター前スタート/10:58苗圃登山コース登山口/11:44〜12:00七星公園/12:29七星山東峰/12:43〜48七星山本峰/13:29小油口コース登山口エンド。
(天気) 小雨の中をスタートする。気温は12℃ほど。始めは樹林の中を登るとあって、ほとんど風を受けなかった。ところが七星公園に出ると、一気に強風を受けるようになった。視界はガスで何も見えなかった。山頂が近づくほどに風は強まり、暴風雨の世界だった。ただ雨としては強くはならなかった。二つの山頂共に気温は8℃で、すっかりガスに包まれていた。下山では少しずつ風は弱まったが、雨の止むことは無かった。またガスの薄れることは無かった。
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台湾鉄路の台北駅を北口から出た その出た所
より駅舎を見上げた
北口の前にバス停があり、260系統のバスを
待った この日は小雨の天気だった
260系統のバスを終点の陽明山バス停で下り
た 雨の中にずらりとバスが並んでいた
陽明山を循環する108系統バスを、ビジター
センター前で下りた そこよりハイキングを開
始した
ビジターセンター前の標識を見ると、苗圃登山
口までは100mの距離だった
苗圃登山口へと向かうが、このときはまだ近く
の山は見えていた
白いツツジがぽつんと咲いていた 苗圃登山口に入る 登山コースは石畳の遊歩道だった
沖縄でよく見かけたクワズイモをここでも見た 道そばに東屋が建っていた 東屋に野犬を見た 野犬は他でも見かけた
ビジターセンターから東屋まで300m、山頂
まではこの先2.4kmだった
登り坂になって石畳の階段を登るようになった
周囲は常緑樹林だったが落葉樹もあるようで、
その落ち葉が多く落ちている所を通った
常緑樹林を見上げた コースのそばには、ときおりベンチが現れた 石段登りが長々と続いた
登山口から1.1km地点を通過する ほぼ中
間地点だった
七星公園への道が分かれたので、そちらに寄る
ことにした その頃にはガスが漂いだしていた
七星公園が近づいた

 七星公園に着いたも
 のの、樹林帯を抜け
 したとあって強風と
 雨の世界だった ガ
 スで展望も全く無し

   近くにあった休憩施
   設に逃げ込んだ
公園からは引き返す予定だったが、冷水坑登山
口への道を見たので、そちらに向かった
展望台を兼ねていると思われる東屋を通り抜け
期待通りに山頂への道が分かれたが、東峰まで
まだ1kmあった
強風と雨を受けながらの登りだった ササを見るようになった リュウキュウチクに
似ていた
一度、樹林の中に入った
登山道は次第に傾斜を増してきた 石畳の登山道は相変わらず遊歩道の佇まいだった 周囲はガスで、視界は数十メートル程度だった

 東峰が間近になって
 その姿が望まれた

    東峰に着いた そこ
    はガスと雨と強風の
    世界だった

 東峰は岩と石の山
 頂だった

   三角点を見る 三等
   三角点と読めたが
すぐに本峰に向かった 大揺れのササの中を歩いた 前方にガスを通して本峰の輪郭が望めた
本峰が目前になった 本峰に着いた ここも岩の山頂だった 一等三角点(一等衛星控制點)が目立っていた
 本峰の山頂を別の
 角度から見る
 ここも強風とガス
 の世界だった

   小油坑登山口に向
   かって下山を始め
   た コース距離は
   1.6kmだった
前方に見えたのは展望台のようだった 急坂を石の階段で下って行く 湯気の現れている所が現れた
近づくと地表は硫黄で黄色くなっており、硫化
水素の臭いが漂っていた
一帯は火山性の地形のようで、所々で湯気が上
がっていた
笹に囲まれた所を通った
好展望のコースのようでまた展望台を見た また硫化水素の臭いがしてきた 小油坑登山口まであと400mだった
次第に登山口へと近づいた 体は冷え切って登山口に着いた ガスの漂う中、バス停で循環バスを待った