TAJIHM の 兵庫の山めぐり <台湾の山
 
七星山    しちせいざん 1120m (台北市)
 
 
【2014年5月】 No.2 2014-41(TAJI&HM)
 
    大屯山より  2014 / 5

 陽明山国家公園の主峰は七星山で、台北一の高さを誇る山だが、台北市街から簡単にアプローチ出来ることに魅力を感じて訪れたのは、2013年12月23日のことだった。その日は朝から小雨が降っていたが、そのうちに止むのではと軽く考えて登ったところ、頂上付近は暴風雨の世界だった。何とか山頂に立ったものの、ガスの視界で何も見えず、雨に濡れるは寒さに震えるはで、散々な目に会ってしまった。そこで晴れとは言わぬまでも視界の良い日に登りたいと再訪を願った。そして二回目の台北山行を、四ヶ月後の2014年5月のゴールデンウィーク中に実行することにした。5月初めは台湾では微妙な季節で、梅雨入りの恐れがあったが、今回は現地で四泊しようとの考えから、ゴールデンウィークを選んだものである。天気に注目していたところ、台湾の4月下旬は比較的晴れの日で続いていた。そして5月初めの天気予報が出ると、引き続き晴れとの予報だった。これは良いと安心していると、いざ直近になって旅行期間中の台北は総て雨の予想に変わってしまった。もちろん七星山も雨の予想だった。そこで七星山には拘らず、雨中でも過ごせる山を登る考えに切り換えて台北へと向かった。
 日本を離れたのは4月30日。桃園空港に降り立つと、しとしと雨だった。台北市街に移動しても同じで、雨で第一日目は終了した。そして二日目となる5月1日も、朝から小雨が降り続いていた。台北でまるまる過ごすのは三日間だったが、一日は観光と考えていたので、この日は観光で過ごすことにした。そこでパートナーの希望で国立故宮博物院を訪れた。ただ観光のみで一日を過ごすつもりは無く、午後に入ってから市街地の山と言える剣潭山のミニハイキングを、雨中にもかかわらず実行した。翌5月2日は、曇り空に薄青空も見える天気だった。但し七星山方面は相変わらず雨の予想だった。そこで雨の心配が無さそうな新北市の観音山ハイキングを楽しんだ。
迎える5月3日は朝から霧雨が降っていた。ところがインターネットで山の天気を調べると、午前中なら大屯山系(七星山系の西隣の山並み)は曇りの予想だった。そこで急きょ大屯山系に向かうことにした。まずは260系統バスに乗って陽明山バスターミナルへと向かうのだが、有り難いことにホテルの近くにある国賓飯店バス停は、その260系統バスが留まるバス停だった。バス停に着いたのは8時過ぎ。数分と待たずにバスが現れ、その上すんなりと座ることも出来た。ただ相変わらず霧雨が降っていた。そのバスは市街地を抜けて陽明山国家公園へと近づくのだが、山岳地帯への登りにかかると、霧雨は止んできて、単に曇った空となった。大屯山の方向が見えるようになると、ガスに包まれているようなことは無く、すっきりと姿が眺められた。どうやら天気予報通りに曇りのまま大屯山を登れそうだった。その大屯山へは終点の陽明山バスターミナルで降りると、108系統バスに乗り換えた。そのバスから七星山が見えるようになったが、すっぽりとガスに包まれていた。大屯山の登山にして正解だったようである。バスを降車したのは二子坪バス停の手前、鞍部バス停で、そこから始まる登山道を登って行った。その遊歩道と呼べそうな易しい道を登っていると、次第に周囲が眺められるようになり、七星山の姿も認められた。てっきりガスに包まれていると思っていたのに、ほぼガスは消えようとしたいた。ちょっと複雑な思いで七星山を眺めた。肝心の大屯山登山はと言うと、登山道とは別に山頂そばまで車道が通じており、ドライブとして訪れる山のようだった。それと山頂は航空関係の施設になっており、立入禁止になっていた。そうなると七星山に是非とも登りたくなった。そこで急きょ七星山を目指すことにした。もう大屯山に未練は無く、そそくさと車道を歩いて二子坪バス停に向かった。その二子坪からは周回バスでもある108系統バスで七星山の小油坑登山口へと向かうつもりだった。バス停には10人以上の人が並んでいたが、ハイカーと言うよりも観光客風の姿だった。その人たちに混じって108系統のバスに乗り込んでみると、バスは小油坑に向かわず、陽明山バスターミナルに戻ってしまった。どうも108系統バスは2経路あるようだった。ちょっとがっかりしてバスターミナルで改めて108系統バスを待つことにした。そのバスを待つ人がけっこう多かった。50人以上は居りそうだった。その頃には天気は更に回復して、薄日が差すまでになっていた。その天気に誘われて、多くの人が行楽に来たようだった。バスはすぐに来たが、どうせ次のバスでないと乗られないと思っていたところ、なぜかそのバスに乗らない人が多かった。そのため係り員に誘われるまま、そのバスに乗ってしまった。そして乗って分かったことは、ハイカーらしき人は次のバスを待っていることだった。どうやらまた二子坪行きのバスに乗ってしまったようだった。そこで小油坑方向の道と二子坪方向の道が分かれる手前の七星山バス停で降車した。そこより小油坑登山口を目指すつもりだった。歩き出すとすぐに車道は分岐したので、小油坑方向へ向かう道に入った。上空は青空も見られて、晴れと呼べるまでになっていた。少し進むと駐車場が現れて、そこにも七星山の登山口が見えたが、予定通り小油坑登山口を目指した。やがて周回道路から小油坑への道が分かれて、そちらへと入った。そして七星山バス停を降りてから20分で小油坑のビジターセンターに到着となった。二子坪に下山した後、すんなりと小油坑に向かえておれば11時半には着いていたと思われるので、30分遅れでの到着になってしまったと言えるが、登山としてはまだ十分に余裕のある時間だった。ここに来ている人の多くは七星山登山ではなく、小油坑見物に訪れているようだったので、こちらも小油坑見物をすることにした。それはビジターセンターのすぐ近くにあり、日本の火山地帯でよく見かける地肌から噴気の上がる姿が眺められた。暫し眺めてから登山口へと向かった。バス停のそばから始まる登山道に入ると、前後にハイカーを見た。1時間ほどで登れる山なので、スニーカーで登る人が多かった。手ぶらに近いかっこうの人もいた。登るほどに背後に風景が広がって、大屯山系が広く眺めなれるようになった。その中で大らかな山容を見せているのが大屯山だった。リズムよく登りたいところだが、山慣れしていない人が多いようで、前を歩く人を何度も抜くことになり、スムーズには登れなかった。周囲は始めは笹地だったが、次第にカヤが多くなった。この小油坑コースは二度目となるので、道の様子が分かっている分だけ楽だった。コースはほぼ遊歩道の状態で続き、軽いハイキングとして登って行けた。道中では硫黄が噴出している風景が何度か眺められた。また展望台が途中に作られていた。やがて山頂が見えてきたが、その頃より陽射しは消えて、空が暗くなってきた。先ほどまであった白い雲は見えなくなっており、ガス状の黒い雲が空を覆ってきた。山頂手前で一度鞍部へと下り、そこを登り返して山頂(本峰)に着いた。登山口から50分が経っていた。山頂は既に薄暗くなっており、風が強く吹いていたが、そこには大勢のハイカーがおり、昼食中であったり記念写真をとっていたりと、大賑わいだった。漸く展望の広がる山頂に立てたと安堵の気持ちが広がったが、周囲にガスが漂い出してきた。そして大屯山系を始め周囲の山並みは、ガスに閉ざされ出した。そこで本峰を15分ほどの休憩で切り上げて、東峰に向かうことにした。その東峰はと見ると、そちらはガスは無くすっきりとした姿を見せていた。鞍部へと下ると、その鞍部で右手から苗圃コースが合流してきた。その頃になると、雨粒がぽつりぽつりと落ちてきた。周囲は笹が囲んでおり、その中を東峰へと登った。振り返ると、本峰にガスがかかり出していた。そして本峰から11分で東峰に到着した。振り返って本峰を見ると、一瞬だけ姿を見たものの、すぐにガスに包まれてしまった。東峰に立っていたのは数人だけで、強い風だけでなく、小雨が降ってきたとあって、皆下山を開始した。その人たちの向かうのは冷水坑登山口の方向で、こちらも長居はぜずに冷水坑コースへと下りを開始した。傘を差して下っていたが、足下が少し険しくなってきたので、途中からは雨具を来て下った。ちょっとした暴風雨の中を下るとあって、何となく前回と同じ雰囲気になっていた。ハイカーの中にはこの突然の天気の変化を予想していなかったのか、傘も差さずに下る人も多かった。その雨風も、七星公園が近づくと弱まってきた。そのうちに雨は止んでしまった。一時的だったようだった。七星公園に着いたのは東峰を離れてから30分後で、この七星公園も七星山と同様に二度目となるが、この日は穏やかだった。庭園風の佇まいと、台北市街の展望を楽しめた。七星公園を後にすると、後は冷水坑登山口へと下って行くだけだった。七星公園に寄り道していたので、前後にハイカーを見かけることは無くなり、のんびりと歩いて行けた。二階建ての東屋を過ぎると、西の方向に展望が広がった。小油坑コースは大屯山系の風景だったが、こちらは小さな丘が点在する伸びやかな風景で、こちらも悪くなかった。陽射しも現れて、先ほどの荒天がうそのようだった。冷水坑登山口に着くとバス停があり、それを見て分かったことは、陽明山バスターミナルに向かう108系統バス以外にも、剣潭駅、士林駅に向かう子15系統バスがあることだった。そのバスに乗る方が早く帰れそうだったが、困ったことに小銭が陽明山バスターミナルまでの分(二人で30元)しか持ち合わせていなかったことだった。台湾のバスは両替が出来ないので、剣潭駅に向かうのは諦めることにした。バス待ちをしていたほとんどの人は小15系統バスに乗り込んでしまい、待つこと30分ほどで漸く来た108系統バスに乗り込んだのは数人だけだった。陽明山バスターミナルに戻ってくると、260系統バスに乗る前に、近くにあった露店でジュースを一瓶購入した。そのお釣りで帰りのバスの小銭(二人で60元)が用意出来た。260系統バスには、数分待つだけで乗車出来た。晴れの七星山とはいかなかったが、展望を楽しむことが出来たので、七星山登山としてはまずまず成功だったと言えそうだった。それにしても乗り間違いがあったものの、この日は6回もバスに乗ってしまったことには、少々あきれる思いだった。
(2014/10記)(2020/10改訂)
<登山日> 2014年5月3日 11:36七星山バス停スタート/11:56〜12:05小油坑/12:10小油坑登山口/12:33中間地点(あと800m)/13:00〜15山頂/13:26〜32東峰/14:06〜16七星公園/14:26二階建ての東屋/14:47冷水坑登山口エンド。
(天気) 午前は曇り空だったが、昼が近づくと雲は薄れ出して、青空が見られるようになった。小油抗登山口の気温は22℃だった。登るうちに雲は増えて、山頂では暗い空に変わっていた。北風が強く吹いており、気温は18℃まで下がっていた。視界は少しうっすらとしていた。東峰に近づく頃よりガスが漂いだし、東峰に立った直後より小雨が降ってきた。雨は次第に強くなってくる上に風も強いため、少々厳しい雰囲気だった。それも七星公園が近づくと、風が弱まってきた。程なく雨も止んだ。その後は曇り空だったが、青空も少し覗くようになった。また視界が良くなってきた。冷水坑登山口の気温は22℃だった。
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108系統バスを七星山バス停で下りて、そこ
より歩き始めた バス停からは七星山が望めた
車道はやがて二手に分かれた 真っ直ぐが小油
坑方向で、左手は二子坪方向だった
小油坑が目的地なので、直進方向に進んだ
七星山を見上げるようにして眺める 駐車場と登山口が現れたが、小油坑では無かった 右手に小油坑に通じる道が分かれた

 前方に七星山を望
 みながら小油坑へ
 の車道を歩いた

 小油坑の駐車場に
 着いて七星山を見
 上げた

 山肌が大きく抉れ
 ている所が小油坑
 だった

 ビジターセンター
 が建っていた

 ビジターセンター
 のそばより小油坑
 への道があり、大
 勢の観光客が来て
 いた
一番近くまで寄ってみた 噴気の近くには硫黄の塊も見られた 七星山の登山口は小油坑バス停のそばからだった
バス停の近くから登って行く方向を見上げた 小油坑登山口に入った 山頂まで1.6kmだった 登山道の周囲はササが繁茂していた

 登るほどに背後
 に風景が広がっ
 てきた

   大屯山と小観音山
   の並ぶ姿を見る
登山道は、すっかり遊歩道だった 前後に見るハイカーは軽装で、ほぼスニーカー
だった
登山口の駐車場がけっこう下に見えている

 火山性の地形が登
 山道から見られる
 ようになった

    中間地点まで来る
    と、尾根を辿るよ
    うになった
登山道のそばでもイオウの現れている所があった 何カ所か、そのような場所を見た イオウの臭いをかぎながら登った
ササの中を歩くようになった 登るほどに、背後の風景が広がってきた
右上の写真の左手を見る 淡水河の風景だった 淡水河の左岸に立つ観音山を大きく見る

 前方に山頂が見え
 てきた

 何時のまにか上空
 はすっかり曇り空
 になっていた

 正面に山頂を見る
 ようになった
ずっとササに囲まれた中を歩いた 振り返って登ってきた方向を見た 山頂が目前になった

 山頂(本峰)に着
 くと、大勢の人が
 休んでいた

   山名標柱の所では
   入れ替わり立ち替
   わり記念写真が撮
   られていた

 山頂に立って改め
 て大屯山系を眺め
 た

 この直後よりガス
 が現れて、その姿
 を隠してしまった
台北市街がごくうっすらと望めた 左の写真に写る台北101ビルを大きく見る 山頂の山名標柱を見る
一等三角点(一等衛星控制點)を見る 東峰はくっきりと見えていた
一休みを終えて、次に東峰へと向かった 鞍部に着くと、苗圃コースが右手から合流した 東峰へと近づいた 相変わらず石畳の登山道だった
後ろを振り返ると本峰はガスに隠されようとし
ていた
東峰のピークが目前になった 東峰に着いたとき、振り返ると本峰が現れていた

 それも一瞬で、す
 ぐにガスに隠され
 てしまった

   東峰は強い風があ
   る上に、周囲はす
   っかりガスになっ
   てしまった
東峰の三角点を見る ガスと風だけでなく雨も降ってきたので下山と
した
下山は冷水坑登山口を目指す
足下に見えてきたのは七星公園だった 樹林帯に入った 樹林帯を抜けると、登山道は緩やかになった
風雨ともに弱まってきた 振り返ると東峰にか
かっていたガスが薄れようとしていた
七星公園が近づいて、はっきり見えるようにな
っていた
冷水坑コースから七星公園への道が分かれた 七星
公園に寄り道することにした
見覚えのある建物のそばを通る 七星公園が見えてきた 七星公園から東峰を見ると、上空に青空も見られた

 七星公園の佇まい
 を眺める

  七星公園からは淡
  水河が望まれた
七星公園の休憩施設を見る ノリウツギに似た花を見た 冷水坑コースに戻った あと800mだった

 七星山発射台の前を
 通った

     前方の小さな丘を越
     すことになった 丘
     には東屋が建ってい
     た
左手に東峰が眺められた 東屋の前に着いた 東屋には野犬がたむろして
いた
岡を超えて下りにかかる 風が強かった
前方には伸びやかな風景が広がった 足下に冷水坑登山口の駐車場が見えていた 冷水坑登山口の駐車場を少し大きく見る
あと200m地点まで下りてきた 冷水坑登山口に下り着いた 冷水坑バス停で陽明山ターミナル行きのバスを待った