雨中の剣潭山を登った翌日は、漸く雨が止み、薄晴れの空となった。その5月2日は、淡水河の河口近くで優美な姿を見せる観音山の登山を楽しんだ。観音山は川の左岸に立つが、左岸の町、八里へと下山した後は、淡水河を渡船で渡って淡水の町に出た。そしてMRT淡水線を始発駅の淡水駅で乗り込んで、帰路についた。後は淡水線でホテルの最寄り駅である双連駅へと向かうだけだった。その双連駅の三つ手前が剣潭駅だが、その剣潭駅が近づいたとき、急に剣潭山を登りたくなった。この日の視界は悪くなく、前日に楽しめなかった尾根からの展望を、この日は楽しめるのではと思えたからだった。そこで急きょ剣潭駅のホームに降り立った。但しパートナーはこの日の観音山登山で疲れており、ホームで待つとのことだった。そこで単独で向かうことにした。前日と同様に剣潭山の山頂までのピストンだったが、往路はコースを変えた。前日は中山北路登山口から登っていたが、その少し手前に建つ圓山育学中心の建物のそばからも登山道らしきものを前日に見ていたので、この日はその登山道を登って行くことにした。主尾根の遊歩道に通じているのではと推測してのことだったが、その通りでうまく主尾根に出ることは出来た。どうやら剣潭山には幾つもコースがあるようだった。主尾根に出ると、もう山頂は近かった。その山頂の手前が展望台だった。前日はガスで何も見えなかったが、この日は打って変わって期待通りに素晴らしい展望が広がっていた。台北市街だけでなく、その背後の山並みも一望で、前日来の胸のつかえを、すっかり取り除くことが出来た。後は山頂を踏むと、すぐに主尾根の遊歩道を引き返して、中山北路登山口へと下りて行った。剣潭駅を出てから戻って来るまで一時間とかからない散歩のようなものだったが、十分に楽しめたのは確かだった。
(2014/8記)(2020/10改訂) |